鹿児島県医療勤務環境改善センター

医療機関の管理者の皆様へ
医療機関の働きやすい環境に向けた勤務環境改善のために当センターをご活用ください 

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労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

1. 労働時間管理に関すること⑤その他(労働時間管理)

2022.3.17客観的な労働時間管理システムの導入について、何か好事例等ありますでしょうか。

 例えば、第15回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 参考資料4の、事例1-1①では、医師向けの勤怠管理システムとして、位置情報によって「業務」、「自己研鑽」が結びついており、勤務時間管理の詳細化を行うものや、令和2年度 医師等医療従事者の勤務環境改善の推進にかかるICT機器等の有効活用に関する調査・研究の事例集の、事例2では、既に他職種において導入している勤怠管理システム(変形労働時間制にも対応)を医師に拡張した事例などが掲載されており、参考になります。

第15回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 参考資料4
令和2年度 医師等医療従事者の勤務環境改善の推進にかかるICT機器等の有効活用に関する調査・研究の事例集

2022.3.3宿日直許可について、土日に同じ出張医が日直・宿直に続けて入っていて許可された事例はありますか。

いきサポに掲載している「医療機関の宿日直許可に係る資料(参考事例)」の4ページの一番下の事例をご参照下さい。

こちらから。

2022.1.20個人病院の院長が、知合いの病院長に頼まれて、通常の診療や宿直勤務に就く場合に気を付けることは何でしょうか。

 院長は、通常、開業医として事業主の立場であるため、労働時間制度の適用外となりますが、他の病院に雇用されて、労働者として働く場合は、この時間は、通常の医師と同様に管理する必要があります。
 例えば、この場合、週40時間は超えなくても、1日8時間を超える場合には、36協定を締結しておくことが必要となり、通常賃金にプラスして、割増賃金(法定超え、深夜時間)の支払いも必要となります。

2022.1.20副業・兼業を行う医師について、本務先で週1回宿直し、副業・兼業先でも同一週に1回宿直することを想定していますが、これは本務先、副業・兼業先それぞれの宿日直許可の運用に当たり、週1回という宿直の要件に抵触しますか。

 本務先 、兼業先の使用者からの労基法第41条第3号(労基則第23条)に基づく許可の申請について、申請事業場における宿日直勤務の態様が、各々、昭和22年9月12月付け発基17号等に示す許可基準に掲げられている条件を満たしていると認められる場合は、いずれも許可されます。
 一方、労働者が、複数の使用者の下で、各使用者が許可を受けた宿日直勤務に従事する場合、当該勤務に関しては労基法上の労働時間規制の適用が除外されることから、ややもすれば、 同一労働者が短期間の間に宿日直勤務に頻繁に従事することとなり、通常業務と相まって事業場に長時間にわたり拘束されることにつながること等が懸念されます。そのため、複数の使用者の下で、特定の労働者が許可を受けた宿日直勤務に従事している、又は従事することが予定されている場合には、当該労働者が頻繁に労働時間規制の適用が除外されることとなる宿日直勤務に従事することとならないよう、体制等について配慮してください。

2022.1.6副業・兼業の場合に労働時間を通算しない場合とは、どのような場合ですか。

 ①労働基準法が適用されない場合や、②労働基準法は適用されても労働時間規制が適用されない場合に、その時間は通算されません。
 ①とは、フリーランスや独立事業者等の「労働者」に該当しない場合です。②とは、農業、畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者(使用者が行政官庁の許可を受けたもの。なお、断続的労働の一態様が、「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」)、高度プロフェッショナル制度適用者等です。
 なお、36協定により延長できる時間の限度時間、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限については、個々の事業場における36協定の内容を規制するものであるため、それぞれの事業場における延長時間を定めます(それぞれの事業場における時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについては、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とは通算されません)。
 また、休憩・休日・年次有給休暇については、労働時間に関する規定ではないため、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間は通算されません。

2021.9.30自院(自らの事業場)の法定休日に他院(他の使用者の事業場)において副業・兼業が行われた場合、法定休日を確保したことになりますか。

 労働基準法第38条第1項により通算されるのは労働時間に関する規定であり、休日に関する規定は通算されないため、労働者が自らの事業場の法定休日に他の使用者の事業場において副業・兼業を行った場合においても、自らの事業場における法定休日は確保したことになります。
 なお、労働者が他の使用者の事業場において、自らの事業場の法定休日に労働を行った場合、当該他の使用者の事業場においては所定労働時間又は所定外労働時間となり、自らの事業場においては、自らの事業場における法定休日であったとしても、自らが指示した労働ではないため、(自らの事業場の労働時間と通算する場合、)他の使用者の事業場における所定労働時間又は所定外労働時間として取り扱うこととなります。
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&Aより)

2021.9.162024年4月以降を見据えた、複数医療機関に勤務する医師の労働時間管理方法の例について教えてください。

 労働基準法において、労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算することとされており、労働基準法の時間外労働の上限規制が適用される労働者については、副業・兼業先の労働時間も含めて、時間外・休日労働が上限を下回っている必要があります。
 そのため、副業・兼業を行う医師がいる場合、当該医師の「自院での労働時間」について自院で36協定により定めた時間を超えないようにする義務があるほか、「自院での労働時間」と医師からの自己申告等により把握した「副業・兼業先での労働時間」も通算した上で、時間外・休日労働の上限を超えないようにする義務があります。
 また、連続勤務時間制限、勤務間インターバル、代償休息等の追加的健康確保措置(2024年4月より)についても、時間外労働の上限規制と同様、副業・兼業を行う医師がいる場合、当該医師の「自院での労働時間」と医師からの自己申告等により把握した「副業・兼業先での労働時間」を通算した上で実施する義務(連携 B・B・C-1・C-2水準)又は努力義務(A 水準)とされます。
 医療機関において雇用する医師が副業・兼業を行っていることを把握している場合は、医師の自己申告等により、労働時間数の見込みや実績について把握する必要があります。また、許可制・届出制でない場合でも、本人からの自己申告を促し、申告に基づき把握した、副業・兼業先の労働時間を通算して管理する必要があります。
 以上を踏まえ、複数医療機関に勤務する医師の労働時間管理方法の例は以下のとおりです。
①主たる勤務先(主に大学病院を想定)は派遣先における勤務を含めて、時間外・休日労働の上限、連続勤務時間制限、勤務間インターバルを遵守できるようなシフトを組むとともに、主たる勤務先・派遣先・個人の希望に基づく副業・兼業先でのそれぞれの労働時間の上限(通算して時間外・休日労働の上限規制の範囲内)を医師との話し合い等により設定しておく。
②医師個人の希望に基づく副業・兼業については、上記のシフト・上限を前提に連続勤務時間制限、勤務間インターバルを遵守できるように副業・兼業先の勤務予定を入れ、自己申告する。
※①・②のシフト・予定は、主たる勤務先及び副業・兼業先で突発的な業務が発生しても、あらかじめ上限規制の範囲内で設定した労働時間の上限を遵守できるよう、ゆとりをもって設定する。
③副業・兼業先で突発的な業務の発生等により予定していた時間より長く勤務してしまった場合には、適切な面接指導の実施、代償休息の付与等の観点から、随時、自己申告する。
④ただし、あらかじめ設定した上限の範囲内で労働している場合であって、
 ・ (B・連携B・C水準適用で毎月面接指導が組み込まれている医師については)代償休息が発生しない場合
 ・ それ以外の医師については、代償休息が発生しない、かつ、月の時間外・休日労働が100時間以上になるおそれがない場合
には、翌月に1か月分まとめての自己申告でもよい。
(参考資料:医師の勤務実態把握マニュアル

2021.9.2副業・兼業につき、簡便な労働時間管理の方法(管理モデル)について教えてください。

 副業・兼業の日数が多い場合や、自院と副業・兼業先の双方で所定外労働がある場合などにおいては、労働時間の申告等や労働時間の通算管理において、労使双方の手続上の負荷が高くなることが考えられます。
 管理モデルは、そのような場合等において、労使双方の手続上の負荷を軽くしながら、労働基準法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる方法で、具体的な方法は以下のとおりです。
① 副業・兼業の開始前に、
 (A)当該副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下「使用者A」といいます。)の事業場における法定外労働時間
 (B)時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」といいます。)の事業場における労働時間(所定労働時間及び所定外労働時間)
を合計した時間数が時間外労働の上限規制である単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内(医師は2024年3月31日まで上限規制は適用されず、それ以降の取扱いは今後省令で定めることとされています)において、各々の使用者の事業場における労働時間の上限をそれぞれ設定する。
② 副業・兼業の開始後は、各々の使用者が①で設定した労働時間の上限の範囲内で労働させる。
③ 使用者Aは自らの事業場における法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場における労働時間の労働について、それぞれ自らの事業場における36協定の延長時間の範囲内とし、割増賃金を支払う。
 これにより、使用者Aと使用者Bは、副業・兼業の開始後においては、それぞれあらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、他の使用者の事業場における実労働時間の把握を要することなく労働基準法を遵守することが可能となります。
 管理モデルにおける労働時間の通算の順序は、労働時間の通算の原則的な順序と異なり、
① A事業場における所定労働時間+A事業場における所定外労働時間(A法定内所定外労働時間・A法定外所定外労働時間)の上限
② B事業場における労働時間(B所定労働時間+B所定外労働時間)の上限
となります。
 なお、A事業場において、所定労働時間と所定外労働時間を合計しても法定外労働時間が発生しないような場合に管理モデルを利用する場合であって、B事業場において、
・ 使用者Bが、副業・兼業を行う労働者のA事業場における日ごとの労働時間を把握しており、
・ A事業場における日ごとの労働時間とB事業場における労働時間を通算しても法定労働時間の枠に収まる部分が明確となっている
場合には、使用者Bは、その通算して法定労働時間内に収まる部分の労働時間について、割増賃金を支払わないこととすることは差し支えありません。
詳しくは、以下の資料が参考になります。
副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A

2021.8.30自院で雇用されており、かつ、副業・兼業先においても雇用される場合には、労働基準法における労働時間等の規定の適用はどうなりますか。原則的な労働時間の通算方法の考え方を教えてください。

 労働者がA事業場でもB事業場でも雇用される場合には、原則として、その労働者を使用する全ての使用者が、A事業場における労働時間とB事業場における労働時間を通算して管理する必要があります(労働基準法(以下「労基法」)第38条第1項、労働基準局長通達(昭和23年5月14日基発第769号))。
 労働時間を通算した結果、法定労働時間(労基法第32条、第40条)を超えて労働させる場合には、使用者は、自院で発生する法定時間外労働について、あらかじめ36(サブロク)協定の締結・届出の必要があります。
 また、使用者は、労働時間を通算して法定労働時間を超えた時間数が、労基法第36条第6項第2号及び第3号に定める時間外労働の上限規制(いわゆる、単月 100 時間未満、複数月平均 80 時間以内の要件)の範囲内(医師は2024年3月31日まで上限規制は適用されず、それ以降の取扱いは今後省令で定めることとされています)となるようにする必要があります。
 加えて、使用者は、労働時間を通算して法定労働時間を超えた時間数のうち自ら労働させた時間について、割増賃金(労基法第37条第1項)を支払う必要があります。
 これらの労基法上の義務を負うのは、当該労働者を使用することにより、法定労働時間を超えて当該労働者を労働させるに至った(すなわち、それぞれの法定外労働時間を発生させた)使用者です。
 具体的には、まず労働契約の締結の先後の順に所定労働時間を通算し、次に所定外労働(所定労働日における所定外労働と、所定休日における労働時間)の発生順に所定外労働時間を通算することによって、労働時間の通算を行い、労基法が適用されます。
 なお、労基法第36条第6項第2号及び第3号に定める時間外労働の上限規制については、通算するべき所定外労働として、所定労働日における所定外労働と、所定休日における労働時間に加えて、自らの事業場の法定休日における労働時間についても、これらの全てを発生順に所定外労働時間として通算することによって労働時間の通算を行い、労働時間の上限規制を遵守する必要があります。
 整理すると、例えば、A事業場の使用者Aと先に労働契約を締結している労働者が、B事業場の使用者Bと新たに労働契約を締結して副業・兼業を行う場合の労働時間の通算の順序は、①、②、③の順となります。
 ① A事業場における所定労働時間
 ② B事業場における所定労働時間
 副業・兼業の開始前に、まずは①と②を通算します。通算の結果、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間(通常の労働時間制度の場合は1週40時間、1日8時間)を超える部分がある場合、この法定労働時間を超える部分は法定時間外労働となります。
 また、副業・兼業の開始後に、使用者Bは、この法定労働時間を超える部分のうち、自ら労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。
 ③ A事業場における所定外労働時間又はB事業場における所定外労働時間(実際に行われた順に通算)
 使用者A及び使用者Bは、それぞれ、①と②の通算(所定労働時間の通算)の後、副業・兼業の開始後に、A事業場における所定外労働時間とB事業場における所定外労働時間を、所定外労働が行われる順に通算します。
 通算の結果、A事業場又はB事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合、それぞれの法定労働時間を超える部分はそれぞれ法定時間外労働となります。
 すなわち、A事業場では、「上記の通算の結果、A事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分」が法定時間外労働となり、B事業場では、「上記の通算の結果、B事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分」が法定時間外労働となります。
 そして、使用者A及び使用者Bは、それぞれ、この法定労働時間を超える部分のうち、自ら労働させた時間について、時間外労働の割増賃金を支払う必要があります。
 例えば、先に契約したA事業場(法定労働時間は週40時間)において週30時間、後に契約したB事業場(法定労働時間は週44時間)において週15時間の所定労働時間がある場合において、労働者がA事業場及びB事業場で労働契約のとおり労働した場合、1週間の労働時間は通算して45時間になりますが、A事業場においては、5時間が時間外労働(ただし、Aが時間外労働を行わせることにはなりませんので、使用者Aにおいて36協定の締結や割増賃金の支払は不要(所定労働時間のみであれば))、B事業場においては、1時間が時間外労働(Bが1時間の時間外労働を行わせることになりますので、使用者Bにおいて36協定の締結や割増賃金の支払が必要)となります。
 なお、更に所定外労働が発生した場合は、A事業場においては5時間の時間外労働の次に、B事業場においては1時間の時間外労働の次に、それぞれ、所定外労働の発生順に所定外労働時間を通算することとなります。
 詳しくは、以下の資料が参考になります。
副業・兼業の促進に関するガイドライン わかりやすい解説
「副業・兼業の促進に関するガイドライン」Q&A

2021.8.19医師の宿直義務の例外について教えてください。

 医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければなりませんが、当該病院の医師が当該病院に隣接した場所(注1)に待機する(患者の急変時に速やかに緊急治療を行えるよう、備えていることを指します)場合その他当該病院の入院患者の病状が急変した場合においても当該病院の医師が速やかに診療を行う体制が確保されている場として厚生労働省令で定める場合(病院の入院患者の病状が急変した場合においても当該病院の医師が速やかに診療を行う体制が確保されているものとして当該病院の管理者があらかじめ当該病院の所在地の都道府県知事に認められた場合⦅注2⦆)は、この限りではありません(但し、具体的な運用・解釈は自治体により異なりますので保健所等へご相談ください)。

(注1)隣接した場所とは、その場所が事実上当該病院の敷地と同一であると認められる場合であり、次の(ア)又は(イ)いずれかの場所を指します。
 (ア)同一敷地内にある施設(住居等)
 (イ)敷地外にあるが隣接した場所にある施設(医療機関に併設した老人保健施設等)
 ※ 公道等を挟んで隣接している場合も可。

(注2)「隣接した場所に待機する場合」に該当しない場合であっても、「速やかに診療を行う体制が確保されているもの」として当該病院の所在地の都道府県知事が認める際の具体的な基準については、以下のア~エを全て満たすものとされています。
 ア 入院患者の病状が急変した場合に、当該病院の看護師等があらかじめ定められた医師へ連絡をする体制が常時確保されていること。
 イ 入院患者の病状が急変した場合に、当該医師が当該病院からの連絡を常時受けられること。
 ウ 当該医師が速やかに当該病院に駆けつけられる場所にいること。
 (特別の事情があって、速やかに駆けつけられない場合においても、少なくとも速やかに電話等で看護師等に診療に関する適切な指示を出せること。)
 エ 当該医師が適切な診療が行える状態であること。
 (当該医師は適切な診療ができないおそれがある状態で診療を行ってはならない。)
 ※ なお、都道府県知事が認めた後に上記ア~エのいずれかの事項に変更があった場合は、再度都道府県知事の確認を要します。
第13回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 参考資料1-2 より)

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