労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

1. 労働時間管理に関すること1. 労働時間管理に関すること

2021.3.18休憩時間中の外出は制限できますか

労基法では、「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」第34条3項と自由利用の原則を定めています。この自由利用の意義について行政解釈は、「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害わない限り差し支えない」としており、この原則と休憩時間中の外出規制についても「事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならない」としています。
但し、「必ずしも違法にならない」とは、完全に合法というのではなく、労働からの解放という休憩の目的を損なわず、一定の規制を加えることに合理性が認められる場合には自由利用の原則に反しないと言っています。
休憩時間の外出に制限を付けるのであれば、「許可制」より「届け出制」が自由利用の原則から望ましいと言えそうです。

2021.2.26労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外になる、「監督若しくは管理の地位にある者」(労働基準法第41条第2号)の判断基準について教えてください。

 監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)とは、一般的には部長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態で判断すべきものであるとされます。
 そして、部長、役員といった役職だけではなく、以下の基準を満たす者でなければ、管理監督者として労働時間、休憩、休日の規定の適用除外とはならないとされます。
 ① 経営者と一体的な立場といえる職務内容とそれに伴う責任や権限を与えられていること(出勤、退勤についても厳格な制限を受けないこと)
 ② 管理監督者としてふさわしい待遇がなされていること
 ③ スタッフ職の場合、経営上の重要事項に関する企画立案などの部門に配属され、ラインの管理監督者と同格に位置付けられている。また、ふさわしい待遇を受けていること

2021.2.252021年4月からの新しい36協定の様式について教えてください。

36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)が新しくなります。
36協定届における押印・署名の廃止
労働基準監督署に届け出る36協定届について、使用者の押印及び署名が不要となります。
記名はしていただく必要があります。
注意点
36協定の締結には、労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかと
なるような記名押印又は署名などの方法が必要になります。
36協定の内容を36協定届に記入し労働基準監督署に届出を行ってください。
36協定書と36協定届を兼ねる場合は記名押印・署名などが必要です。
36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設
36協定の適正な締結に向けて、労働者代表についてのチェックボックスが新設されます。
(労働者代表:事業場における過半数代表者または過半数労働組合)
注意点
過半数代表者の選任にあたっては、管理監督者・使用者の意向に基づいて選出された者でないことや
36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票挙手等の方法で選出することが求められます。
病院の利益を代表する管理者等は該当しないのでご注意ください。
(「Q2020.10.14 36協定は誰と結べばいいのですか」参照)
●●届出後、見やすい場所への掲示や書面等の交付により周知させましょう。
●●電子申請による届出が可能です。
・36協定届様式のダウンロード 【「労働基準関係主要様式」検索】
・そのまま出せる36協定届を作成【「スタートアップ労働条件」検索】
・36協定の電子申請はこちら 【「労基法等 電子」検索】

2021.1.151週間の労働日数が変わった場合、有休付与日数はどうなるのですか?

雇用契約の更新・変更等で週の所定労働日数に増減が生じた場合でも、変更後の労働日数に応じた年次有給休暇が付与されるのはあくまで「変更後に迎える最初の基準日」です。
例えば、勤務日数が増えた場合、週の所定労働日数が増えたタイミングで即時に有休を追加する必要はありません
また、週所定労働日数が減った場合でも、既に付与した有休はそのまま付与済みの有休を減らす取り扱いはしません。
有休付与はあくまで「基準日」ベースで行うものですから、こうした処理は不要です。

2021.1.14時間外労働・休日労働についての労働基準法のきまりと罰則はどのようなものですか

労基法は労働時間について1日8時間、1週40時間の原則を定め(労基法32条)、休日については毎週1日を与えなければならないと定めています。(労基法35条1項)これらに違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が予定されています。(労基法119条1項)
但し、事業場で労使が時間外休日労働に関する労使協定(36協定)を締結していた場合には、36協定で定める時間外労働時間数や休日労働の日数の限度内で、労働させることは可能です。しかし、それを超えて時間外労働をさせたり、休日労働をさせた場合、上記刑罰が適用されることとなります。
平成30年に改正された労基法36条6項で、新たな規制が加わりました。これは、36協定の限度時間や特別条項の上限とは別に、労働者個人の時間外・休日労働時間数が100時間以上となった場合にも、労基法119条1項の違反となります。

2020.12.28夜勤者の休憩時間について、法令上何時間以上与えないといけませんか

労働基準法第34条において、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中で与えなければならないことが定められています。

医療の現場では、24時間体制で入院患者の見守り、ケアが必要となります。そのために設けているのが「夜勤」という働き方であり、1か月単位の変形労働時間制を採用し、夜勤者の1日の所定労働時間について8時間を超える時間に設定していることが多いです。その場合の休憩時間数ですが、例えば2交代制で夜勤が16時間勤務の場合だと、8時間×2=2時間必要と考えたくもなりますが、労働基準法では休憩時間数については日勤・夜勤ともに同じであり、16時間勤務の場合であっても「8時間を超える場合は1時間以上」の文言より、業務の途中で1時間与えれば法違反とはなりません。

しかし、夜勤者の作業の能率、健康管理を考えると、まずは休憩をしっかり取らせるよう配慮すべきです。また休憩時間中は労働から解放させる必要があり、休憩時間中の労働者の行動に制約を加えることは禁止されていますが、業務により休憩時間を自由に利用させることができない場合は労働時間と見なし、時間外勤務手当を支給する必要があります。なお、看護協会では16時間夜勤等の長時間勤務の場合、2~3時間の休憩時間の付与が望ましいとしています。

2020.12.1136協定の「特別条項」とはどういうものしょうか。どんな手続きが必要ですか。

時間外労働の上限について、大企業は2019年4月以降、中小企業は2020年4月以降の協定から法律上、原則として月45時間・年360時間となりました。(医師については2024年(令和6年)3月31日までの間は、適用されません)

但し、臨時的な特別の事情があるため、原則となる時間外労働の限度時間(月45時間・年360時間)を超えて時間外労働を行わせる必要がある場合には、通常の36協定届(様式第9号)に加え、さらに以下の事項について労使が合意して協定した上(特別条項)で、限度時間を超える場合の36協定届(様式第9号の2)を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

①臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合における
・1か月の時間外労働+休日労働の合計時間数 (100時間未満)
・1年の時間外労働時間 (720時間以内)
②限度時間を超えることができる回数(年6回以内)
③限度時間を超えて労働させることができる場合
④限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
⑤限度時間を超えた労働に係る割増賃金率
⑥限度時間を超えて労働させる場合における手続

今回の法改正では、この上限時間内で労働させた場合であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計が、月100時間以上または2~6か月平均80時間超となった場合には、法違反となります。このため、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とすることを、協定する必要があります。36協定届の新しい様式では、この点について労使で合意したことを確認するためのチェックボックスが設けられています。

そして③限度時間を超えて労働させることができる場合とは、「臨時的な特別の事情がある場合」に限ります。限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常予見することのできない業務量の大幅な増加など、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。

また、④健康・福祉確保措置の内容については、以下のものから定めることが望ましいことに留意してください。
①医師による面接指導
②深夜業(22時~5時)の回数制限
③終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
④代償休日・特別な休暇の付与
⑤健康診断
⑥連続休暇の取得
⑦心とからだの相談窓口の設置
⑧配置転換
⑨産業医等による助言・指導や保健指導

医師については2024年(令和6年)3月31日までの間は延長時間について上限はありませんが、時間外労働を行うにあたっては36協定の締結と届出は必要であり、延長できる時間もその協定に定められた時間までとなります。不必要な時間外労働を抑制する意味からも、できる限り短い延長時間とするようご留意ください。36協定届は「適用猶予期間中における、適用猶予事業・業務に係る時間外・休日労働を行わせる場合」の様式第9号の4を使用できます。

その他詳細については、厚生労働省が作成したパンフレット「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

2020.12.2オンコールが労働時間にあたるのか等オンコールの取扱いについて教えてください。

 まず、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定))。
 そして、オンコール待機中に実際の診療が発生した場合、当該診療に従事する時間は労働時間に該当します。
 オンコール待機時間全体が労働時間に該当するかどうかについては、オンコール待機中に求められる義務態様によって判断する必要があります。
 オンコール待機中に求められる義務態様は、医療機関ごと、診療科ごとに様々であり、呼び出しの頻度がどの程度か、呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか、呼び出しに備えてオンコール待機中の活動がどの程度制限されているか等を踏まえ、オンコール待機時間全体について、労働から離れることが保障されているかどうかによって判断するもので、個別具体的に判断されるものです。

2020.11.26医療機関における労働時間制度の活用についてどのようなものがありますか。

医療機関で活用される労働時間制度については、
(1)通常の労働時間制度における交代制勤務(2交代制、3交代制)
(2)1ヶ月単位の変形労働時間制
をとる方法が一般的です。

(1)「通常の労働時間制制度における交代制勤務(2交代制、3交代制)」とは、法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間。但し、常時10名未満の労働者を使用する保健衛生業の場合は1日8時間、1週44時間。)を前提として、あるいはこれに36協定を導入した上で、その範囲内において、変形労働時間制をとることなく、1日の始業時刻・終業時刻を2区分や3区分し、設定する方法です。
例として、午前7時から午後3時まで、午後3時から午後11時まで、午後11時から午前7時までの勤務の3交代制などです。

(2)「1ヶ月単位の変形労働時間制」とは、労使協定または就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより1ヶ月以内の一定期間(単位期間)を平均して1週当たりの労働時間が40時間(常時10名未満の労働者を使用する保健衛生業の場合は44時間)におさまる場合であれば、単位期間の特定の日または週について、1日もしくは1週の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

1か月単位の変形労働時間制の詳細(運用の手順、給与計算)については厚生労働省のリーフレットを参照ください。

2020.11.24有給休暇の買い上げはどんな時認められますか

有給休暇の買い上げについては、「年次有給休暇の買い上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ、ないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である」とされています。
ただし、いかなる時もできないかというと、結果的に消化しきれなかった有給休暇については、限定的に買い上げが認められます。
⓵ 2年の時効により請求できなくなった有給休暇
⓶ 退職時に請求不可能となる未消化有給休暇
しかしながら、⓵⓶の場合であっても、限定的な対応となります、これが恒常的・既成事実化すると、逆に有給休暇の取得を阻害することになります。

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