労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

1. 労働時間管理に関すること1. 労働時間管理に関すること

2021.7.26医療機関における宿日直許可の申請の流れについて教えてください。

 まず、申請前に以下をチェックします。

□ 申請を考えている宿日直中に従事する業務は、通常業務とは異なる、軽度又は短時間の業務である
□ 申請を考えている宿直業務は、夜間に十分な睡眠がとり得るものである
 □ ベッド・寝具など睡眠が可能な設備がある
□ 申請を考えている宿日直業務は、通常業務の延長ではなく、通常の勤務時間の拘束から完全に開放された後のものである
 □ 始業・終業時刻に密着して行う短時間の業務態様ではない(4時間未満ではない)
□ 救急患者の診療等通常勤務と同態様の業務が発生することはあっても、稀である
□ 実際の宿日直勤務の状況が上記の通りであると医療機関内で認識が共有され、そのように運用されている(宿日直の従事者の認識も同様である)

 次に、労働基準監督署に、申請書(様式第10号)(原本2部)及び添付書類を提出します。
 申請対象である宿日直の勤務実態が、以下の条件を満たしていることを書面上で確認されます。
 対象業務は、
 ①通常の勤務時間から完全に解放された後のものであり
 ②宿日直中に従事する業務は、一般の宿日直業務以外には、特殊な措置を必要としない軽度または短時間の業務に限ること
 ③一般の宿日直の許可の条件(※)を満たしていること
 ④宿直の場合は十分な睡眠がとりうること等の条件を満たしていること
  (※)1.常態としてほとんど労働することがないこと
     2.通常の労働の継続ではないこと
     3.宿日直手当額が同種の業務に従事する労働者の1人1日平均額の3分の1以上であること
     4.宿日直の回数が、原則として宿直は週1回、日直は月1回以内であること
     5.宿直について相当の睡眠設備を設置していること
 そして、労働基準監督官による実地調査が行われます。
 宿日直業務に実際に従事する医師等へのヒアリングや、仮眠スペースの確認等を、原則として実地で行い、申請時に提出された書類の内容が事実に即したものかの確認が行われます。また、勤務実態の確認に必要な期間(個別の申請ごとに異なりますが、おおよそ直近数ヶ月間)の勤務記録の提出を求められます。
 書類審査、及び実地調査の結果、許可相当と認められた場合に宿日直許可がなされ、許可書が交付されます。
 (申請時に提出が必要な書類例)
宿日直当番表、宿日直日誌や急患日誌等、宿日直中に従事する業務内容、業務内容ごとの対応時間が分かる資料(電子カルテのログや急患日誌等を基に作成)、仮眠室等の待機場所が分かる図面及び写真、宿日直勤務者の賃金一覧表、宿日直手当の算出根拠がわかる就業規則等(※これらは標準的な例であり、実務上は監督官が調査に必要な範囲で提出を依頼)

こちらの資料が参考になります。

2021.7.5院内で行う自主的な勉強会の時間も労働時間になるのでしょうか。

労働時間は、使用者の指揮命令下にある時間を言います。
指揮命令下とは、使用者がその場に居なかったり、命令していなくとも、実態として指揮命令下にあるとものと同等の状態を含みます。
したがって、勉強会が「自主的」と銘打っていても、使用者の関与が強く、出席が事実上強制されている実態にある場合には、労働時間となります。

2021.6.22年次有給休暇の申請時に、その利用目的を届けさせることはできますか

原則として、年次有給休暇をどのような目的で利用するかは労働者の自由であるとされています。
よって職員が年休の取得に当たって、利用目的を使用者に届け出る必要はなく、また、職員がこれを届け出なかったことを理由に年休を取得させないとなると違法となります。
ただ、任意であることを前置きして口頭で利用目的を尋ねること、また、事業の運営が妨げられる恐れがあり、使用者の時季変更権の行使が認められるケースの場合、その時季変更権を行使するか差し控えるかの判断材料とするために、年休の使途を尋ねることは問題ないと考えられます。

2021.6.15Q労働時間についてどのような管理が求められてますか。

労働時間管理については「労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に詳細が記されており内容は以下のとおりとなっています。

使用者は、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することと
 「使用者」とは使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含む。
 「労働者」とは労働基準法第41条に定める者(管理監督者)及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業 場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除く全ての者をいう。
 また当ガイドラインが適用されない労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者におい
 て適正な労働時間管理を行う責務がある。

(1) 原則的な方法
・ 使用者が、自ら現認することにより確認すること
・タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録
 すること

(2) 例外的な方法(やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合)
・ 自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づ
く措置等について、十分な説明を行うこと
・ 自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著
しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること
・ 使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならな
いこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを
守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること。

このように適正に把握された労働時間をもとに、過重労働や未払い賃金の防止に取り組むことが求められて
います。

2021.6.1職員の休憩時間に急患対応をお願いしました、休憩の分割付与は問題ありませんか

労基法上、休憩時間を分割して付与することは可能です。
医師等(医師・薬剤師・歯科医師・助産師)は、法律により、応召義務が課されています。看護師等には応召義務は課されていませんが、急患対応の場面では、休憩時間を中断せざるを得ない場合は考えられます。この場合、中断がなければ休憩するであった時間分を、改めて労働時間の途中に休憩時間として付与する必要があります。
就業規則に、休憩時刻を記載する場合は、業務上の都合により休憩の時刻を変更することがある、又は分割して与えることがあることを記載しておくべきでしょう。

2021.5.7退職時の年次有給休暇の請求は認めるべきですか

労働基準法第39条4項に、年次有給休暇は労働者の請求する時季に与えないとならないとの規定があります。また、同条4項ただし書には、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季に与えることができると「時季変更権」を認めています。
時季変更権の「事業の正常な運営を妨げる場合」とは、「個別的、具体的に客観的に判断されるべきものであると共に、事由消滅後能う限り速やかに休暇を与えなければならない」と解釈例規されています。
申請日と退職日の関係で、業務の引継ぎができないなど特別な事情があるときは、使用者として、他の時季に与える可能性も出てくるでしょう。但し、退職間際の職員に「時季変更権」を行使する余地はありませんので、法律的には認めざるをえないという結論になります。
職場の実情・業務の引継ぎ等を十分職員に説明し、理解を得ることしかないように思います。

2021.3.18休憩時間中の外出は制限できますか

労基法では、「使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない」第34条3項と自由利用の原則を定めています。この自由利用の意義について行政解釈は、「休憩時間の利用について事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を害わない限り差し支えない」としており、この原則と休憩時間中の外出規制についても「事業場内において自由に休息し得る場合には必ずしも違法にはならない」としています。
但し、「必ずしも違法にならない」とは、完全に合法というのではなく、労働からの解放という休憩の目的を損なわず、一定の規制を加えることに合理性が認められる場合には自由利用の原則に反しないと言っています。
休憩時間の外出に制限を付けるのであれば、「許可制」より「届け出制」が自由利用の原則から望ましいと言えそうです。

2021.2.26労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外になる、「監督若しくは管理の地位にある者」(労働基準法第41条第2号)の判断基準について教えてください。

 監督若しくは管理の地位にある者(管理監督者)とは、一般的には部長等労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者をいい、名称にとらわれず、実態で判断すべきものであるとされます。
 そして、部長、役員といった役職だけではなく、以下の基準を満たす者でなければ、管理監督者として労働時間、休憩、休日の規定の適用除外とはならないとされます。
 ① 経営者と一体的な立場といえる職務内容とそれに伴う責任や権限を与えられていること(出勤、退勤についても厳格な制限を受けないこと)
 ② 管理監督者としてふさわしい待遇がなされていること
 ③ スタッフ職の場合、経営上の重要事項に関する企画立案などの部門に配属され、ラインの管理監督者と同格に位置付けられている。また、ふさわしい待遇を受けていること

2021.2.252021年4月からの新しい36協定の様式について教えてください。

36協定届(時間外・休日労働に関する協定届)が新しくなります。
36協定届における押印・署名の廃止
労働基準監督署に届け出る36協定届について、使用者の押印及び署名が不要となります。
記名はしていただく必要があります。
注意点
36協定の締結には、労使で合意したうえで労使双方の合意がなされたことが明らかと
なるような記名押印又は署名などの方法が必要になります。
36協定の内容を36協定届に記入し労働基準監督署に届出を行ってください。
36協定書と36協定届を兼ねる場合は記名押印・署名などが必要です。
36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設
36協定の適正な締結に向けて、労働者代表についてのチェックボックスが新設されます。
(労働者代表:事業場における過半数代表者または過半数労働組合)
注意点
過半数代表者の選任にあたっては、管理監督者・使用者の意向に基づいて選出された者でないことや
36協定を締結する者を選出することを明らかにした上で、投票挙手等の方法で選出することが求められます。
病院の利益を代表する管理者等は該当しないのでご注意ください。
(「Q2020.10.14 36協定は誰と結べばいいのですか」参照)
●●届出後、見やすい場所への掲示や書面等の交付により周知させましょう。
●●電子申請による届出が可能です。
・36協定届様式のダウンロード 【「労働基準関係主要様式」検索】
・そのまま出せる36協定届を作成【「スタートアップ労働条件」検索】
・36協定の電子申請はこちら 【「労基法等 電子」検索】

2021.1.151週間の労働日数が変わった場合、有休付与日数はどうなるのですか?

雇用契約の更新・変更等で週の所定労働日数に増減が生じた場合でも、変更後の労働日数に応じた年次有給休暇が付与されるのはあくまで「変更後に迎える最初の基準日」です。
例えば、勤務日数が増えた場合、週の所定労働日数が増えたタイミングで即時に有休を追加する必要はありません
また、週所定労働日数が減った場合でも、既に付与した有休はそのまま付与済みの有休を減らす取り扱いはしません。
有休付与はあくまで「基準日」ベースで行うものですから、こうした処理は不要です。

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