労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

②年5日の年次有給休暇の確実な取得5. 働き方改革に関すること

2021.8.27時間単位の年休を必要とする職員等が5日分取得した場合、新たに採用した職員などについて10日のうち5日を時季指定してしまうと、自由に所得できる年次有給休暇が無くなってしまうのではと苦慮しています。

確かに年次有給休暇が10日の職員等は5日の時季指定を行った残りの5日分の時間単位年次有給休暇を取得すると全ての年次有給休暇を取得することになります。しかしながら、年次有給休暇の5日の時季指定は職員等から聴取した意見に基づき行うものであること、職員等が自ら時期を指定して取得した年次有給休暇の日数分は時季指定から控除することができるということから対応できるとお考えください。

2021.8.12医師の働き方改革に向けた院内での取組について、例えばどのようなものがありますか。

 例えば、医師の働き方改革に取り組むことを院内に表明し、担当者を置いたり検討チームを立ち上げたりする等体制を整え、医師の労働時間の把握と現状分析を行い、目標や計画を立て、医師の働き方を変えていく具体的な取組を行うなどがあります。
 具体的な取組としては、短時間勤務医師や医師事務作業補助者、特定行為研修修了看護師や助産師の配置等のタスク・シフト/シェアの推進、宿日直の体制(宿日直許可の申請の検討や宿直免除申請の検討を含む)や分担の見直し(各科当直から複数診療科によるグループ当直の導入、オンコールの併用等)、交替(シフト)制勤務や変形労働時間制の導入、主治医制の見直し(主治医制から主治医チーム制、複数主治医制の導入)、土日祝日の病棟業務等は当番医で対応(必要に応じて主治医が対応)、法定休日(完全休日⦅オンコール含め業務対応が一切ない日⦆)を確保する体制の構築、カンファレンスの実施方法の見直し(カンファレンスの勤務時間内の実施やカンファレンス時間の短縮化⦅カンファレンスの目的を明らかにする、司会役を設ける、所要時間をあらかじめ設定する等⦆)、病状説明の勤務時間内の実施に関する患者周知の徹底、診療所との連携(紹介・逆紹介の活性化、診療所の開所日・時間拡大による救急対応の分散、開業医師による病院外来支援等)、ICTを活用した業務の見直し(情報共有ツールの導入、AI問診、音声入力等診療補助機器の導入等)、自己研鑽に関するルールの作成及び周知などがあります。

2021.7.21同一労働同一賃金の派遣労働者への講ずるべき措置とはどのようなことでしょうか

同一労働同一賃金への対応として、教育訓練・福利厚生・派遣料金・情報提供・派遣先管理台帳の5つの項目における措置です。
①同等の教育訓練の実施
職務に必要な技術や知識を獲得するための教育訓練は、同一の業務を行っている場合に、派遣労働者に対しても同等に実施することが義務付けられました。
②同等の福利厚生施設等の利用
事業所内にある給食施設や休憩室、更衣室などの福利厚生施設について、派遣先の通常の労働者と同等の利用を認められるようになりました。派遣労働者に対して福利厚生施設を使ってはいけないといった差別的な扱いは行ってはいけません。
また、施設だけでなく、福利厚生制度も派遣先の通常の労働者と同じように利用できる配慮が求められています。
③派遣料金の交渉における配慮
派遣先企業は、派遣元企業に対する派遣料金に配慮しなければなりません。均等・均衡な待遇確保に必要な額や労使協定による待遇を考慮し、適正な派遣料金を提示する必要があります。
④派遣元企業への情報提供の配慮
派遣先企業に求められる情報提供は、基本的に待遇を決定する段階で賃金に関わる情報のみです。ただ、今回の改正で派遣元企業からその他の情報の提供を求められた際に対応する配慮義務があります。
※例えば、待遇改善などのために、派遣先企業の労働者や派遣労働者の状況などを知りたいという申し出があれば、対応する必要があります。
⑤派遣先管理台帳の追加事項
派遣労働者ごとに、協定対象派遣労働者であるか否か、派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度を派遣先管理台帳に追加記載しなければなりません。

2021.7.15「均衡待遇」が求められる場合、取組対象労働者(短時間労働者及び有期雇用労働者)の待遇と比較対象労働者(通常の労働者)の待遇に違いがある場合に、その違いは不合理な待遇差であってはならないため、不合理な待遇差であるか否かについて点検・検討する必要があるようですが、その点検・検討の「基本手順」を教えてください。

 不合理な待遇差を点検し、対応策を検討する手順は、基本的には、以下の流れになります。
 ①比較対象労働者との間に違いがある個々の待遇の「性質・目的」を明らかにします。
  ・なぜ、その待遇に関する制度を設けたのか
  ・どのような事象に対してその待遇を支給・付与することとしているのか
  ・その待遇を労働者に支給・付与することにより、どのような効果を期待しているか
  といった観点等から、「性質・目的」の内容を明らかにすることが必要です。
 ②手順①で明らかにした待遇の「性質・目的」を踏まえ、待遇に関連する考慮要素は、3考慮要素の中のどれに当たるかを判断します。
  ※待遇の「性質・目的」によっては、3考慮要素の中で複数の要素が関連する場合があります。
  ※3考慮要素とは、「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲」、「その他の事情」です。
 ③手順②で判断をした「考慮要素」に基づき、「違い」が生じている理由を整理し、「違いが不合理ではない」といえるか否かを確認します。
(留意点)
 比較対象労働者と取組対象労働者との間で、待遇に関する決定基準を異なるものとすることは、パートタイム・有期雇用労働法では禁止されていません。例えば基本給について、正職員は能力に応じて支給する職能給、パート職員は職務の内容に応じて支給する職務給というように決定基準を異なるものとしている事例も多く見られます。
 しかしながら、決定基準が異なっているのであれば、そのことが、「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲」、「その他の事情」の3考慮要素に基づいて、不合理でないと説明できることが必要です。
 単に「パートだから」とか、「将来の役割期待が異なるので」といった、主観的・抽象的な説明では、不合理でないことを説明するには不十分です。
 また、不合理な待遇差であるか否かは、個々の待遇ごとに判断することが基本ですが、ある待遇が他の待遇との関係で決まっている場合には、それも考慮される場合があります。ただし、その理由について客観的・具体的に説明できるようにしておくことが必要であり、労使で認識を共有しておくことが望ましいです。

2021.7.8同一労働同一賃金について、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、①職務の内容あるいは②職務の内容・配置の変更の範囲が異なる場合は、「均衡待遇」であることが求められ、短時間・有期雇用労働者の待遇は、①、②及び③その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、通常の労働者との間に不合理な待遇差のないようにすることが求められるみたいですが、③その他の事情とは、どのようなことですか。

 ③その他の事情とは、「①職務の内容」、「②職務の内容・配置の変更の範囲」以外の事情で、個々の状況に合わせて(考慮すべきその他の事情があるときに)、その都度検討するものです。例えば、成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯は、「③その他の事情」として想定されています。なお、ある待遇が他の待遇との関係で決まっている場合には、それも考慮される場合があります。ある待遇を他の待遇との関係で決めている場合には、その理由について客観的・具体的に説明できるようにしておくことが必要であり、労使で認識を共有しておくことが望ましいです。

2021.6.28同一労働同一賃金について、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲が同じ場合は、短時間・有期雇用労働者であることを理由とした差別的取扱いが禁止され、待遇が通常の労働者と同じ方法で決定される必要がある(均等待遇)みたいですが、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲とは、どのようなことですか。

 まず、①職務の内容とは、「a.業務の内容」と「b.当該業務に伴う責任の程度」のことをいいます。
 「a.業務の内容」について、業務とは職業上継続して行う仕事をいい、業務の内容に違いがあるかは、業務の種類(職種)と、従事している業務のうち中核的業務が実質的に同じかどうかで判断します。なお、業務の種類(職種)とは、看護職、事務職等といった従事する業務のことをいい、中核的業務とは、職種を構成する業務のうち、その職種を代表する中核的なものを指し、職種に不可欠な業務を指します。
 「b.当該業務に伴う責任の程度」とは、業務の遂行に伴い行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等(例えば、管理する部下の人数、職場において求められる役割、トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応等)をいい、当該業務に伴う責任の程度に違いがあるかは、責任の程度が著しく異ならないかどうかで判断します。
 次に、②職務の内容・配置の変更の範囲とは、将来の見込みも含め、転勤、昇進といった人事異動や本人の役割の変化等(配置の変更を伴わない職務の内容の変更を含む。)の有無や範囲のことをいいます。
 均等待遇は、待遇決定に当たって、短時間・有期雇用労働者が通常の労働者と同じに取り扱われること、つまり、短時間・有期雇用労働者の待遇が通常の労働者と同じ方法で決定されることを指しますが、同じ取扱いのもとで、能力、経験等の違いにより差がつくのは構いません。

2021.6.24パートタイム・有期雇用労働法の、目的や理念、用語の定義について簡単に教えてください。

 この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間・有期雇用労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間・有期雇用労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的としています。
 基本的理念として、短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者は、生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる機会が確保され、職業生活の充実が図られるように配慮されるものとされます。
 ここで、用語の定義について簡単に説明しますと、「通常の労働者」とは、いわゆる「正規型」の労働者及び事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者をいいます。また、「短時間労働者」とは、労働契約期間の有期・無期に関わらず、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者をいい、「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいいます。そして、「短時間・有期雇用労働者」とは、短時間労働者及び有期雇用労働者をいいます。

2021.6.23同一労働同一賃金について、不合理な待遇差の解消にあたり留意すべきことを教えてください。

通常の労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消するにあたっては、基本的に、労使の合意なく通常の労働者の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえません。
また、雇用管理区分が複数ある場合であっても、すべての雇用管理区分に属する通常の労働者との間で不合理な待遇差の解消が求められます。
通常の労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者との間で職務の内容等を分離した場合であっても、通常の労働者との間の不合理な待遇差の解消が求められます。

2021.6.16年5日の年次有給休暇の時季指定については,就業規則に記載する必要がありますか。

休暇に関する事項は、就業規則の絶対的必要記載事項であるため、労働者数10人以上の事業場で、時季指定を行う場合はそのことについて就業規則に記載する必要があります。具体的には,時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について定め、所轄労働基準監督署に届出するようにしてください。

2021.6.9同一労働同一賃金について、不合理な待遇差の点検・検討手順の全体像を簡単に教えてください。

 同一労働同一賃金について、事業主が不合理な待遇差がないかを点検・検討し、対応策を検討するための望ましい手順の全体の流れは以下のとおりです。
 まず、医療機関内の労働者を職員タイプごとに区分し、それぞれの職員タイプの特徴を「労働契約期間」・「1週間の労働時間」をもとに整理します。これによって、パートタイム・有期雇用労働法の対象となる労働者を雇用しているかを確認します。
 短時間・有期雇用労働者が「いる」場合、「均等待遇」、「均衡待遇」の対象となる短時間・有期雇用労働者を確認します。
 次に、短時間・有期雇用労働者の職員タイプごとに、個々の待遇の「適用の有無」と「決定基準」を整理して、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間での「違い」を確認します。
 そして、個々の待遇ごとに以下の手順で均等・均衡を点検します。
 ①均等待遇の対象となる短時間・有期雇用労働者に対しては、全ての待遇について決定基準が通常の労働者と「同一」であるかを確認します。
 ②均衡待遇の対象となる短時間・有期雇用労働者に対しては、「適用の有無」あるいは「決定基準」に「違い」がある場合には、当該待遇の「性質・目的」を確認・整理し、「性質・目的」に適合する考慮要素を3考慮要素(職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情)の中から特定し、その考慮要素に基づき、「違い」を適切に説明できるかを検討します。
 最後に、均等待遇の場合で待遇の決定基準が異なる場合や、均衡待遇の場合で「違い」が適切に説明できない場合には、是正策を検討します。

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