- 2022.3.17医師間の業務整理及びタスク・シフト/シェアで特徴的な好事例はありますか。
宿日直体制の見直しや、チーム制の導入/奨励のほか、病院総合医の配置があります。
例えば、第15回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 参考資料4の、事例3-3では、「病棟に包括診療医を配置し、包括的な病棟マネジメントを実施。包括診療医は主治医と連携し、かつ多職種協働のチーム医療を推進・管理する要となっている。」という事例があります。
第15回 医師の働き方改革の推進に関する検討会 参考資料4
- 2022.2.24追加的健康確保措置の面接指導実施医師には、産業医の資格があればなれますか。
面接指導実施医師については、長時間労働の面接指導に際して必要な知見に係る講習を受講して従事することになっており、産業医が面接指導実施医師になる場合も、必要な講習を受講していただく必要があります。
- 2021.12.16タスク・シフト/シェアを、職種に関わりなく特に推進するものについて教えてください。
職種毎の専門性に応じて、具体的には下記の項目のタスク・シフト/シェアを推進します。具体例としてヒアリングを踏まえた項目を記載していますが、その他の職種についても、それぞれの職種の専門性に応じて同様にタスク・シフト/シェアを推進します。
なお、医療安全等の観点から、診療の補助に当たらないものについても、医師が適切に関与することが必要です。
①説明と同意
具体的には、看護師や診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士等による検査等の説明と同意、薬剤師による薬物療法全般に関する説明、医師事務作業補助者や看護補助者による入院時の説明(オリエンテーション)、等
②各種書類の下書き・仮作成
具体的には、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士によるリハビリテーションに関する書類の作成・所見の下書きの作成、医師事務作業補助者による診療録の代行入力、医師事務作業補助者による損保会社等に提出する診断書、特定疾患等の申請書、介護保険主治医意見書等の書類、入院診療計画書や退院療養計画書等診療報酬を算定する上で求められる書類、紹介状の返書などの書類の下書き、等
③診察前の予診等
具体的には、看護師による診療前の問診や検査前の情報収集(病歴聴取・バイタルサイン測定・トリアージ、服薬状況の確認、リスク因子のチェック、検査結果の確認)、医師事務作業補助者の診察前の予診(医師が診察をする前に、診察する医師以外の者が予備的に患者の病歴や症状などを聞いておく行為)、等
④患者の誘導
具体的には、看護補助者による院内での患者移送・誘導、診療放射線技師による放射線管理区域内への患者誘導、臨床工学技士の患者の手術室退室誘導、等
こちらの資料が参考になります。
- 2021.12.6タスク・シフト/シェアの具体的な推進方法について教えてください。
担当職種の見直しを図ることにより一連の業務の効率化を促すことが重要です。
全ての医療機関において、労働時間の短縮を進めるためにタスク・シフト/シェアに取り組む必要があります。
まずは、医療従事者の意識改革・啓発として、管理者向けのマネジメント研修、医師全体に対する説明会の開催や、各部門責任者に対する研修、全職員の意識改革に関する研修等に取り組みます。
特に、一部の職種のみ、あるいは管理者のみの意識改革ではタスク・シフト/シェアが容易に進まないことに留意する必要があります。
加えて、医療従事者の技術の向上のために、研修等の機会を作ることが重要です。研修は座学のみでなくシミュレータ等を用いた実技も交え、医療の安全を十分確保できるよう、取り組む必要があります。
さらに、医療機関でタスク・シフト/シェアされる側である医療従事者の余力の確保のために、ICT機器導入等による業務全体の縮減、現行担当している職種からその他の職種へのタスク・シフト/シェアの推進、一連の業務の効率化と現行担当職種の見直し等を不断に行う必要があります。
また、安全性を担保しながら取組を進めるために、医療機関においてタスク・シフト/シェア後の事故報告を徹底する等の安全性確保を目的とした改善のための方策についても十分に講じる必要があります。
- 2021.11.18C-1水準の指定は、あくまでプログラム/カリキュラム内の医療機関における研修期間中の労働時間を年換算した場合に、年間の時間外・休日労働が960時間を超える場合に必要であって、そうでなければC-1水準の指定をとる必要はない。この認識で間違いないでしょうか。
基本的な認識はご理解のとおりです。(ただし、勤務実態として年間の時間外・休日労働が960時間超となるような場合は、C-1水準の指定が必要になります。)
- 2021.8.12医師の働き方改革に向けた院内での取組について、例えばどのようなものがありますか。
例えば、医師の働き方改革に取り組むことを院内に表明し、担当者を置いたり検討チームを立ち上げたりする等体制を整え、医師の労働時間の把握と現状分析を行い、目標や計画を立て、医師の働き方を変えていく具体的な取組を行うなどがあります。
具体的な取組としては、短時間勤務医師や医師事務作業補助者、特定行為研修修了看護師や助産師の配置等のタスク・シフト/シェアの推進、宿日直の体制(宿日直許可の申請の検討や宿直免除申請の検討を含む)や分担の見直し(各科当直から複数診療科によるグループ当直の導入、オンコールの併用等)、交替(シフト)制勤務や変形労働時間制の導入、主治医制の見直し(主治医制から主治医チーム制、複数主治医制の導入)、土日祝日の病棟業務等は当番医で対応(必要に応じて主治医が対応)、法定休日(完全休日⦅オンコール含め業務対応が一切ない日⦆)を確保する体制の構築、カンファレンスの実施方法の見直し(カンファレンスの勤務時間内の実施やカンファレンス時間の短縮化⦅カンファレンスの目的を明らかにする、司会役を設ける、所要時間をあらかじめ設定する等⦆)、病状説明の勤務時間内の実施に関する患者周知の徹底、診療所との連携(紹介・逆紹介の活性化、診療所の開所日・時間拡大による救急対応の分散、開業医師による病院外来支援等)、ICTを活用した業務の見直し(情報共有ツールの導入、AI問診、音声入力等診療補助機器の導入等)、自己研鑽に関するルールの作成及び周知などがあります。
- 2021.4.8C水準(2024年4月から施行される診療に従事する勤務医の時間外労働上限規制につき、一定の期間集中的に技能向上のための診療を必要とする場合に、年間(上限として)1,860時間まで時間外・休日労働が認められる水準)のうち、C-2水準の対象となる医療機関の指定要件について教えてください。
C-2水準は、「医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ」等によれば、医籍登録後の臨床に従事した期間が6年目以降の者であって、先進的な手術方法など高度な技能を有する医師を育成することが公益上必要とされる分野において、指定された医療機関で、一定期間集中的に当該高度特定技能の育成に関連する診療業務を行う場合であり、以下の要件全てに該当することとされています。
① 対象分野における医師の育成が可能であること
C-2水準の対象として厚生労働大臣が公示(※)する「我が国の医療技術の水準向上に向け、先進的な手術方法など高度な技能を有する医師を育成することが公益上必要である分野」において、C-2水準の対象として審査組織が特定する技能を有する医師を育成するのに十分な教育研修環境を有していることを審査組織において確認する。
※分野の公示は、
・ 高度な技能を有する医師が必要で、
・ 当該技能の習得及びその維持には相当程度の時間、関連業務への従事が必要な分野
という基本的な考え方に基づいて行う。例えば、高度で長時間の手術等途中で医師が交代するのが困難であることや、診療上、連続的に診療を同一医師が続けることが求められる分野が考えられる。
② 36 協定において年 960 時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをする必要があること
④の医師労働時間短縮計画(案)に記載された時間外・休日労働の実績及び審査組織の意見を踏まえ、36 協定において年 960 時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めが必要と考えられること。
③ 都道府県医療審議会の意見聴取(地域の医療提供体制への影響の確認)
C-2水準を適用することにより、地域における高度な技能が必要とされる医療の提供体制に影響を与える可能性があることから、地域の医療提供体制への影響及び構築方針との整合性を確認することが適当であり、都道府県は、都道府県医療審議会の意見を聴く。
④ 医師労働時間短縮計画(案)の策定(B・連携B・C-1水準と同じ)
⑤ 評価機能による評価の受審(B・連携B・C-1水準と同じ)
⑥ 労働関係法令の重大・悪質な違反がないこと(B・連携B・C-1 水準と同じ)
詳しくは、医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめをご確認ください。
- 2021.3.31C水準(2024年4月から施行される診療に従事する勤務医の時間外労働上限規制につき、一定の期間集中的に技能向上のための診療を必要とする場合に、年間(上限として)1,860時間まで時間外・休日労働が認められる水準)のうち、C-1水準の対象となる医療機関の指定要件について教えてください。
C-1水準は、「医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ」等によれば、臨床研修医及び原則として日本専門医機構の定める専門研修プログラム/カリキュラムに参加する専攻医であって、予め作成された研修計画に沿って、一定期間集中的に数多くの診療を行い、様々な症例を経験することが医師(又は専門医)としての基礎的な技能や能力の修得に必要不可欠である場合であり、以下の要件全てに該当することとされています。
① 都道府県知事により指定された臨床研修プログラム又は日本専門医機構により認定された専門研修プログラム/カリキュラムの研修機関であること
② 36 協定において年 960 時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをする必要があること 「適正な労務管理」(※1)と「研修の効率化」(※2)が行われた上で、④の医師労働時間短縮計画(案)に記載された時間外・休日労働の実績及び指定申請の際に明示されたプログラム・カリキュラムの想定労働時間(プログラム全体及び各医療機関における時間)を踏まえ、36 協定において年 960 時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めが必要と考えられること。
(※1)「適正な労務管理」(労働時間管理をはじめとした労働関係法令に規定された事項及び医療法(昭和 23 年法律第 205 号)に規定することとしている追加的健康確保措置の実施)は、④の医師労働時間短縮計画(案)の記載内容及び⑤の評価機能による評価結果により、都道府県知事が確認する。
(※2)「研修の効率化」(単に労働時間を短くすることではなく、十分な診療経験を得る機会を維持しつつ、カンファレンスや自己研鑽などを効果的に組み合わせるに当たり、マネジメントを十分に意識し、労働時間に対して最大の研修効果を上げること)は、地域医療対策協議会等の意見を聴いた上で、④の医師労働時間短縮計画(案)の記載内容により、都道府県知事が確認する。
③ 都道府県医療審議会の意見聴取(地域の医療提供体制への影響の確認)
C-1水準を適用することにより、地域における臨床研修医や専攻医等の確保に影響を与える可能性があることから、地域の医療提供体制への影響を確認することが適当であり、都道府県は、都道府県医療審議会の意見を聴く。なお、地域医療対策協議会においても協議することとする。
④ 医師労働時間短縮計画の策定(B・連携B水準と同じ)
⑤ 評価機能による評価の受審(B・連携B水準と同じ)
⑥ 労働関係法令の重大・悪質な違反がないこと(B・連携B水準と同じ)
詳しくは、医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめをご確認ください。
- 2021.3.24連携B水準(2024年4月から施行される診療に従事する勤務医の時間外労働上限規制につき、地域医療提供体制の確保のために他の医療機関に派遣され、当該副業・兼業先での労働時間と通算した時間外・休日労働が年960時間を超えざるを得ない場合に通算の上限を年1,860時間とする水準)の対象となる医療機関の指定要件について教えてください。
「医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ」等によれば、以下の要件全てに該当することとされています。
① 医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な役割を担う医療機関であること
(例)大学病院、地域医療支援病院等
② 36 協定においては年 960 時間以内の時間外・休日労働に関する上限時間の定めをしているが、副業・兼業先での労働時間を通算すると、時間外・休日労働が年 960時間を超えることがやむを得ない医師が勤務していること
④の医師労働時間短縮計画(案)に記載された時間外・休日労働の実績及び③の都道府県医療審議会の意見を踏まえ、副業・兼業により時間外・休日労働が年 960 時間を超えることがやむを得ない医師が勤務すると考えられること。
※ なお、当該医療機関内でどの医師が副業・兼業によりやむを得ず長時間労働となるのかについては、予定される副業・兼業の内容を踏まえ、特定する。医療機関は該当する医師に対して追加的健康確保措置を適切に実施するためにも、当該医師が明確となるように管理する必要がある。
③ 都道府県医療審議会の意見聴取(地域の医療提供体制の構築方針との整合性)(B水準と同じ)
④ 医師労働時間短縮計画(案)の策定(B水準と同じ)
⑤ 評価機能による評価の受審(B水準と同じ)
⑥ 労働関係法令の重大・悪質な違反がないこと(B水準と同じ)
- 2021.3.10B水準(2024年4月から施行される診療に従事する勤務医の時間外労働上限規制につき、地域医療提供体制の確保の観点から必須とされる機能を果たすために、当該医療機関における時間外・休日労働が年960時間を超えざるを得ない場合に上限を年1,860時間とする水準)の対象となる医療機関の指定要件について教えてください。
「医師の働き方改革の推進に関する検討会 中間とりまとめ」等によれば、以下の要件全てに該当することとされています。
① 医療機能が以下の類型のいずれかに該当すること
対象となる医療機能は、以下のとおりとする。
◆「救急医療提供体制及び在宅医療提供体制のうち、特に予見不可能で緊急性の高い医療ニーズに対応するために整備しているもの」・「政策的に医療の確保が必要であるとして都道府県医療計画において計画的な確保を図っている「5疾病・5事業」」双方の観点から、
ⅰ 三次救急医療機関
ⅱ 二次救急医療機関 かつ 「年間救急車受入台数 1,000 台以上又は年間での夜間・休日・時間外入院件数 500 件以上」 かつ「医療計画において5疾病5事業の確保のために必要な役割を担うと位置付けられた医療機関」
ⅲ 在宅医療において特に積極的な役割を担う医療機関
ⅳ 公共性と不確実性が強く働くものとして、都道府県知事が地域医療提供体制の確保のために必要と認める医療機関
(例)精神科救急に対応する医療機関(特に患者が集中するもの)、小児救急のみを提供する医療機関、へき地において中核的な役割を果たす医療機関
◆特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替することが困難な医療を提供する医療機関
(例)高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・病棟管理、児童精神科等
② 36 協定において年 960 時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをすることがやむを得ない業務が存在すること
④の医師労働時間短縮計画(案)に記載された時間外・休日労働の実績及び③の都道府県医療審議会の意見を踏まえ、36 協定において年 960 時間を超える時間外・休日労働に関する上限時間の定めをすることがやむを得ない業務があると考えられること。
※ なお、当該医療機関内で医師のどの業務がやむを得ず長時間労働となるのかについては、36 協定締結時に特定する。したがって、当該医療機関に所属する全ての医師の業務が当然に該当するものではなく、医療機関は、当該医療機関がB水準の対象医療機関として指定される事由となった「必須とされる機能」を果たすために必要な業務が、当該医療機関におけるB水準の対象業務とされていることについて、合理的に説明できる必要がある。
③ 都道府県医療審議会の意見聴取(地域の医療提供体制の構築方針との整合性)
B水準を適用することが地域の医療提供体制の構築方針(医療計画等)と整合的であること及び地域の医療提供体制全体としても医師の長時間労働を前提とせざるを得ないことについて、都道府県は、都道府県医療審議会の意見を聴く。その際、医療機関の機能分化・連携等を進めることによる将来の地域医療提供体制の目指すべき姿も踏まえることが必要であり、地域医療構想調整会議における、医療計画のうち地域医療構想の達成の推進のための協議状況を勘案し、地域医療構想との整合性を確認することが適当である。また、地域の医療提供体制は、地域の医師の確保と一体不可分であるため、地域医療対策協議会における議論との整合性を確認することが適当である。このため、実質的な議論は、都道府県医療審議会に設けられた分科会や地域医療対策協議会等の適切な場において行うことを想定している。
④ 医師労働時間短縮計画(案)の策定
B水準は、医療機関内のマネジメント改革を進めてもなお、地域に必要な医療提供体制の確保のためにA水準を超えざるを得ない場合に適用される水準であることから、追加的健康確保措置の実施体制を整備しつつ、計画的に労働時間短縮に取り組む必要がある。このため、各医療機関は、医師を含む各職種が参加して医師労働時間短縮計画(案)を策定し、都道府県に提出する。その上で、PDCA サイクルに基づき、当該計画を少なくとも年1回点検し、必要な改善を行うことを含め、労働時間短縮に取り組む。
⑤ 評価機能による評価の受審
医療機関における追加的健康確保措置や労務管理の実施状況、労働時間の実績や労働時間短縮に向けた取組状況等について、過去3年の間に評価機能による評価をあらかじめ受けていることを都道府県において確認する。都道府県は、その評価結果を踏まえ、B水準の対象医療機関の指定を行う。
⑥ 労働関係法令の重大・悪質な違反がないこと
医療機関は事業者として労働関係法令の遵守が求められる。特に、B水準の対象医療機関は、例外的に医師の長時間労働が許容されることから、より適切な労働時間管理等が求められる。このため、労働時間に関する労働基準法(昭和 22 年法律第49 号)及び賃金の支払いに関する最低賃金法(昭和 34 年法律第 137 号)の各規定に違反したことにより、過去1年以内に送検され、公表されたことがある場合には、長時間労働が例外的に許容される医師を雇用する雇用主として不適格であるとし、B水準の対象医療機関としての指定を認めないこととする。
- 2021.3.9勤務環境改善マネジメントシステムについて教えてください。
医師の働き方改革に向けて、勤務環境の改善を図り、健康で安心して働くことができる快適な職場づくりを支援しています。センターでは、「医療勤務環境改善マネジメントシステム」の導入を支援し目標達成のサポートを行っています。
「勤務環境改善マネジメントシステム」は7つのステップで区分されています。
ステップ1【方針表明】:トップによる取組みの方針を周知
・危機感(切迫感)、問題意識を高め、全員で共有します。
ステップ2【体制整備】:多職種による継続的な体制
ステップ3【現状分析】:客観的な分析により課題を明確化
・改革推進のために使命感をもって取組むメンバーでチームを結成します。
ステップ4【目標設定】:ミッション・ビジョン・現状から目標設定
・目指すべき目標、改革のビジョンと戦略を明確にし、組織内に普及させ周知徹底し理解と賛同を得ます。
ステップ5【計画策定】:目標達成のための実施事項を決定
・ビジョンを実行に移す人々に権限を付与し、改革しやすい環境を整える。
ステップ6【取組みの実施】:1つ1つ着実で継続的な実践
・短期的な成果を計画的に生み出し、認知し、評価する。
ステップ7【評価・改善】:成果を測定し、次のサイクルにつなげる
・元に戻らないように変革を進め、油断せず推進し、新たな仕組み、制度を習慣化し、文化を醸成する。
※経営トップによる積極的な関与に加え、成功のポイントは、最初は容易なものから取組んで達成感を味わうことで継続につなげることです。
◇医師事務作業補助者の活用 ◇緊急時を除く時間外の病状説明の取りやめ ◇複数主治医制 ◇完全休日 ◇多様な勤務形態 ◇地域の医療機関との連携 etc 好事例を積み重ね、魅力ある職場づくりを目標に働き方改革を進めていきましょう。
- 2021.3.4A水準(2024年4月から施行される診療に従事する勤務医の時間外労働上限規制について、年間の時間外・休日労働の上限を960時間以下とする水準)を超える医師のいる医療機関に、今後策定義務が課されるとされる、医師労働時間短縮計画のイメージについて教えてください。
例えば、以下のようなものです。
△〇×病院 医師労働時間短縮計画(イメージ)
計画期間
令和〇年〇月~令和6年3月末
対象医師
△△科医師、□■科医師
労働時間数
△△科医師
年間の時間外・休日労働時間数 |
前年度実績 |
当年度目標 |
計画期間終了年度の目標 |
平均 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
最長 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
960時間超~1,860時間の人数・割合 |
〇人・33% |
〇人・20% |
〇人・10% |
1,860時間超の人数・割合 |
〇人・5% |
〇人・3% |
〇人・0% |
□■科医師
年間の時間外・休日労働時間数 |
前年度実績 |
当年度目標 |
計画期間終了年度の目標 |
平均 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
最長 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
〇時間△分 |
960時間超~1,860時間の人数・割合 |
〇人・20% |
〇人・10% |
〇人・0% |
1,860時間超の人数・割合 |
〇人・0% |
〇人・0% |
〇人・0% |
労務管理・健康管理
【労働時間管理方法】
前年度の取組内容 |
出勤簿による自己申告 |
当年度の取組目標 |
出退勤管理に関してICカード導入 |
計画期間中の取組内容 |
引き続きICカードにより管理 |
【宿日直許可基準に沿った運用】
前年度の取組内容 |
未許可 |
当年度の取組目標 |
労働基準法施行規則(昭和22年厚生省令第23号)第23条の宿日直許可の取得手続を行う |
計画期間中の取組内容 |
引き続き宿日直許可に基づき適切に取り組む |
【医師の研鑚の労働時間該当性を明確化するための手続等】
前年度の取組内容 |
特に対応なし |
当年度の取組目標 |
医師の研鑽に関して、事業場における労働時間該当性を明確にするための手続を周知し、環境の整備を管理する |
計画期間中の取組内容 |
引き続き手続を周知し適切に取り組む |
【労使の話し合い、36協定の締結】
前年度の取組内容 |
労使間の協議の場として、労働時間等設定改善委員会を月1回開催する
36協定を当該事業場の労働者(パートやアルバイト等も含む)の過半数で組織する労働組合(過半数組合)と協議して締結し、届け出た36協定は医局内に掲示する |
当年度の取組目標 |
引き続き
労使間の協議の場として、労働時間等設定改善委員会を月1回開催する
36協定を当該事業場の労働者(パートやアルバイト等も含む)の過半数で組織する労働組合(過半数組合)と協議して締結し、届け出た36協定は医局内に掲示する |
計画期間中の取組内容 |
引き続き
労使間の協議の場として、労働時間等設定改善委員会を月1回開催する
36協定を当該事業場の労働者(パートやアルバイト等も含む)の過半数で組織する労働組合(過半数組合)と協議して締結し、届け出た36協定は医局内に掲示する |
【衛生委員会、産業医等の活用、面接指導の実施体制】
前年度の取組内容 |
・衛生委員会を月1回開催する
・健康診断を年1回以上実施する
・産業医を1人選任する |
当年度の取組目標 |
引き続き
・衛生委員会を月1回開催する
・健康診断を年1回以上実施する
・産業医を1人選任する |
計画期間中の取組内容 |
引き続き
・衛生委員会を月1回開催する
・健康診断を年1回以上実施する
・産業医を1人選任する |
意識改革・啓発
【管理者マネジメント研修】
取組の実績 |
特に実績なし |
取組の目標 |
・国の実施する病院長向けの研修会に病院長が参加する
・診療科長等向けに管理者のマネジメント研修を年1回開催し、受講を促す |
タスク・シフト/シェア
【看護師】
取組の実績 |
特に実績なし |
取組の目標 |
特定行為研修を受講する看護師を〇名以上に増加させる |
【医師事務作業補助者】
取組の実績 |
医師事務作業補助者〇人体制で医師の具体的指示の下、診療録等の代行入力を行う |
取組の目標 |
医師事務作業補助者〇人体制に増員し、医師の具体的指示の下、診療録等の代行入力を行う |
医師の業務の見直し
【日当直の体制や分担の見直し】
取組の実績 |
従来は各診療科毎の日当直体制 |
取組の目標 |
各診療科毎の日当直体制ではなく、日当直人数を交代で1日当直当たり2人体制とし、日当直しない診療科についてはオンコール体制とする |
その他の勤務環境改善
【ICTその他の設備投資】
取組の実績 |
未導入 |
取組の目標 |
音声入力システムを導入して、カルテの一部を自動作成する |
策定プロセス
各職種から各代表1名が参画する勤務環境改善委員会を3ケ月に1回開催し、この計画の検討を行い、策定した。策定されたこの計画は、医局の他、各職種の職場に掲示する。
※ 令和2年度 医療勤務改善マネジメントシステム普及促進等事業 多職種対応! 医療機関の働き方改革セミナー 未来へつなぐ医療を支えるチームビルディング 行政説明資料より作成
- 2021.2.18「労働時間」の定義について教えてください
労働基準法には、「労働時間」の定義については、直接触れていません。
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、
・労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示または黙示の明示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。
・労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであり、客観的に見て使用者の指揮命令下に置かれていると評価されるかどうかは、労働者の行為が使用者から義務づけられ、又はこれを余儀なくされていた等の状況の有無等から、個別具体的に判断されます。
・次のアからウのような時間は、労働時間として取り扱うことになります。
ア 使用者の指示により、就業を命じられた業務に必要な準備行為(着用を義務付けられた所定の服装への着替え等)や業務終了後の業務に関連した後始末(清掃等)を事業場内において行った時間
イ 使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)
ウ 参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の指示により業務に必要な学習等を行っていた時間
※院内で緊急時に備えて待っている時間(手待ち時間)、業務に必要な準備行為、清掃等は労働時間になります。診療開始時刻が始業時間ではありません。
※研修・教育、会議・委員会への出席においても強制・命令の場合や、任意の出席でも欠席を不利益に取扱う場合は、労働時間となります。
- 2021.2.15なぜ、(医療機関の)働き方改革が必要なのでしょうか?
背景にあるのは、日本の人口構造の変化です。日本の人口は近年減少局面を迎えており、2065年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率(65歳以上人口割合)は38%台の水準になると推計されています。つまり、生産年齢人口(15~64歳)がどんどん少なくなってくる(2065年には51%台)と推計されています。ここに対応しなければならないという危機感から始まっているのが働き方改革です。
労働力人口(働き手)が少ない社会を維持するためには、女性や高齢者等の皆様の活躍が必要であり、制約要因(いわゆる正社員の長時間かつ硬直的な労働時間や、いわゆる非正規社員の低賃金と不安定な雇用等)をなくして、多様な働き方を認める方向に変えていこうという発想の下で始まりました。
働き方改革推進法の理念(目指しているもの)は、古い働き方から新しい働き方への移行を推進すること等です。
古い働き方とは、一部の職員の長時間労働ですべてを解決したり、長時間労働できない人を労働市場から排除したりする働き方などのことです。この働き方は、人が無尽蔵に供給されうる「人口増加社会」には効率的であったとされます。
しかし、日本の人口構造が変わり、長時間に対応できる人だけが働くというやり方ではなく、一人ひとりの状況に応じた多様な働き方で労働力を最大限に活かすことが求められています。そこで、法規制によって新しい働き方の方へどんどん促進していこうという発想で、働き方改革が進んでいます。
つまり、時代の変化に対応するために、働き方改革をする必要があるというわけです。縦割りから連携へ、多職種・他機関の地域内での協働等、少ない労働力でパフォーマンスを発揮する働き方へのシフトが必要になってきます。また、一般に、医療は人手が必要な産業であるといわれますが、働きがいのある、魅力ある職場にしていくことによって、人手を確保し続け、医療を未来に繋げていくためにも、働き方改革が重要です。