労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

5. 働き方改革に関すること① 時間外労働の上限規制

2020.12.8時間外労働の上限規制について教えてください。

 長時間労働は、健康の確保を困難にするとともに、仕事と家庭生活の両立を困難にし、少子化の原因、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭家庭参加を阻む原因となっています。
 長時間労働を是正することによって、ワークライフバランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり労働参加率の向上に結び付きます。
 このため、働き方改革の一環として、労働基準法が改正され、時間外労働の上限が法律に規定されました。原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません。また月45時間を超えることができるのは、年6ヶ月までです。
 臨時的な特別の事情があり労使が合意する場合は、時間外労働は年720時間以内、時間外労働と休日労働を併せて月100時間未満、2~6ヶ月平均80時間以内とする必要があります。
 医師や建設事業等は、2024年4月1日以降の適用となり、猶予されています。医師については、今後省令で定めることとされています。
 したがって、36協定を締結せずに時間外労働をさせた場合や、36協定で定めた時間を超えて時間外労働をさせた場合には、労働基準法32条違反となります。(6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)また、36協定に定めた時間数にかかわらず、上限の時間を超えた場合には、労働基準法36条第6項違反となります。(6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金)よって、時間外労働を行わせるためには、36協定の締結・届出及び労働時間の把握が必要であり、適正に管理する責務が求められます。

3. 職場の環境整備に関すること①いじめ・ハラスメント等

2021.1.26職場におけるパワーハラスメントの定義について教えてください。

 職場における「パワーハラスメント」とは、職場において行われる① 優越的な関係を背景とした言動であって、② 業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③ 労働者の就業環境が害されるものであり、①~③までの要素を全て満たすものをいいます。
 客観的にみて、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導については、②の要素を満たさないため、職場におけるパワーハラスメントには該当しません。
 「職場」とは、事業主が雇⽤する労働者が業務を遂⾏する場所を指し、労働者が通常就業している場所以外の場所であっても、労働者が業務を遂⾏する場所であれば「職場」に含まれます。勤務時間外の「懇親の場」、社員寮や通勤中などであっても、実質上職務の延⻑と考えられるものは「職場」に該当しますが、その判断に当たっては、職務との関連性、参加者、参加や対応が強制的か任意かといったことを考慮して個別に⾏う必要があります。
 「労働者」とは、いわゆる正規雇⽤労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員などいわゆる非正規雇⽤労働者を含む、事業主が雇⽤する全ての労働者をいいます。また、派遣労働者については、派遣元事業主のみならず、労働者派遣の役務の提供を受ける者(派遣先事業主)も、自ら雇⽤する労働者と同様に、措置を講ずる必要があります。
 ①「優越的な関係を背景とした」⾔動とは、業務を遂⾏するに当たって、当該言動を受ける労働者が⾏為者とされる者(以下「⾏為者」という。)に対して抵抗や拒絶することができない蓋然性が⾼い関係を背景として⾏われるものを指します。
 ②「業務上必要かつ相当な範囲を超えた」⾔動とは、社会通念に照らし、当該言動が明らかに当該事業主の業務上必要性がない、⼜はその態様が相当でないものを指します。
 この判断に当たっては、様々な要素(当該言動の目的、当該言動を受けた労働者の問題⾏動の有無や内容・程度を含む当該言動が⾏われた経緯や状況、業種・業態、業務の内容・性質、当該言動の態様・頻度・継続性、労働者の属性((例)経験年数や年齢、障害がある、外国⼈である 等)や心⾝の状況((例)精神的⼜は⾝体的な状況や疾患の有無 等)、⾏為者との関係性等)を総合的に考慮することが適当です。
 また、その際には、個別の事案における労働者の⾏動が問題となる場合は、その内容・程度とそれに対する指導の態様等の相対的な関係性が重要な要素となることについても留意が必要です。なお、労働者に問題⾏動があった場合であっても、⼈格を否定するような言動など業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動がなされれば、当然職場におけるパワーハラスメントに当たり得ます。
 ③「労働者の就業環境が害される」とは、当該言動により、労働者が⾝体的⼜は精神的に苦痛を与えられ、労働者の就業環境が不快なものとなったために能⼒の発揮に重大な悪影響が生じる等の当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることを指します。
 この判断に当たっては、「平均的な労働者の感じ方」、すなわち、「同様の状況で当該言動を受けた場合に、社会⼀般の労働者が、就業する上で看過できない程度の支障が生じたと感じるような言動であるかどうか」を基準とすることが適当です。
 なお、言動の頻度や継続性は考慮されますが、強い⾝体的⼜は精神的苦痛を与える態様の言動の場合には、1回でも就業環境を害する場合があり得ます。
 職場におけるパワーハラスメントは、①から③までの要素を全て満たすものをいい、個別の事案について職場におけるパワーハラスメントの該当性を判断するに当たっては、②で総合的に考慮する事項のほか、当該言動により労働者が受ける⾝体的⼜は精神的な苦痛の程度等を総合的に考慮して判断することが必要です。
 このため、個別の事案の判断に際しては、相談窓⼝の担当者等がこうした事項に⼗分留意し、相談を行った労働者(以下「相談者」という。)の心⾝の状況や当該言動が⾏われた際の受け止めなどその認識にも配慮しながら、相談者及び⾏為者の双方から丁寧に事実確認等を⾏うことも重要です。
 これらのことを⼗分踏まえて、予防から再発防止に⾄る⼀連の措置を適切に講じることが必要です。
 こちらのパンフレットが参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf

2020.10.8パワハラ防止法について教えてください。

 法律において初めてパワハラが規定されました「改正労働施策総合推進法」。パワーハラスメント防止を企業に義務付けることが決まり、令和2年6月から、雇用管理上の必要な措置を講ずることが義務となります。中小医療機関については令和4年4月からとなり、それまでは努力義務となります。特に罰則は定義されていませんが、必要に応じて事業主に対して助言・指導・勧告が行われ、それに従わない場合は企業名が公表される可能性がありますので注意が必要です。
 パワハラは、いくつか発生してしまう要因が存在し(加害者側・被害者側)、防止するためには様々な取り組みのポイントがあります。院長等のトップからのメッセージ、就業規則や社内規定に文書で示し周知を行い、相談窓口を設置・紹介してアンケート等を実施、教育のための研修などといった取り組みが必要です。医療勤務環境改善支援センターでは具体的な取組みを進めるための助言・派遣指導も行っておりますのでご活用ください。

2020.9.17いじめやハラスメント、職員間暴力を防ぐためには、職場でのコミュニケーションを活性化させることが大切だと考えますが、そのための取組みとして、フィッシュ哲学を取り入れている病院があると聞きました。それについて簡単に教えてください。

フィッシュ哲学とは、①遊び心を取り入れる、②人を喜ばせる、楽しませる、③相手に注意を向ける、④態度を選ぶ、の4つの原理をもつ概念です。アメリカのシアトルにある魚市場発祥の概念であることから「フィッシュ哲学」と称されました。
フィッシュ哲学の概念を看護現場に取り入れた結果、離職率の低下、新人看護師の定着率の向上、職務満足度の向上、患者苦情相談件数の減少、職場内のコミュニケーションの活性化、人間関係が良好になったことが報告されています。
職場が活気にあふれるような遊び心を取り入れ、同僚等に対してエネルギッシュな楽しい雰囲気で接し、人が自分を必要としている瞬間を逃さぬように気を配り、ポジティブな姿勢で出勤するようにすることが、イキのいい職場へのコツのようです。
パワーハラスメント防止対策の法制化・パワーハラスメント防止措置等の実施義務の創設等の法改正(令和2年6月1日施行(中小医療機関等については令和4年3月31日までは努力義務))がなされるなか、参考になる概念といえそうです。
(参考文献 『医療機関における暴力対策ハンドブック』中外医学社)

6. その他の労務管理Q&A①その他の労務管理

2021.1.22職員を解雇する場合の「解雇予告除外認定制度」について教えてください

職員を解雇する場合は、少なくとも30日前に解雇を予告するか、それをしない場合は、30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはなりません。(労基法第20条)ただし、天災事変その他やむをえない事由により解雇する場合や労働者の責に帰すべき事由より解雇する場合は、行政官庁(労働基準監督署)の認定を受けることで、前記予告や予告手当を支払うことなく、即時解雇することができます。これを「解雇予告除外認定制度」といいます。
この除外認定を受けるに当たって、労働者の責に帰すべき事由とは、病院が定める懲戒事由より、より厳格に判断されます。そのため、書類審査だけでなく、労働基準監督署の担当官が、対象職員その他の関係者に対し実地調査を行うため、申請から認定の判断がなされるまで一定の期間がかかります。こうした手続きのため、「除外認定制度」を申請することなく、解雇予告又は解雇予告手当の支払いで行うことが多いのが現状です。

2020.12.9解雇予告と解雇予告手当について教えてください

職員を解雇する場合は、少なくとも30日以上前に予告をするか、予告に代えて30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならない。(労基法第20条)
これは、解雇する場合
①少なくとも30日前までに解雇の予告をする
②30日分以上の平均賃金((解雇予告当)を支払えば、即時解雇ができる
③予告と平均賃金(解雇予告手当)の併用により、30日分以上確保する
ことが求められています。
この場合、30日とは解雇予告をした日は含まれず、その翌日から起算して30日を確保する必要があります。つまり、解雇予告日と雇用関係がなくなる日との間に中30日を置くことになります。
解雇予告手当の支払い時期については、「解雇の申し渡しと同時に支払うべき」とされています。また、本人に渡せなかったり、受領を拒否される場合は、「労働者が受け取りえる状態にしておくこと」で要件は足りるとされていますが、法務局に供託することも可能です。

2020.11.6働き方改革関連法案やパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)では、大企業と中小企業で施行時期が異なる制度が見受けられますが、中小企業の範囲はどこまでになりますか。また医療法人の場合はどうなりますか。

大企業か中小企業かは「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する従業員の数」で判断されます。これは事業場単位でなく、企業単位で判断されます。業種の分類は総務省の「日本標準産業分類」に従います。ただし、出資持分のない医療法人など、資本金や出資金の概念がない業態は従業員数のみで大企業か、中小企業かを判断します。医療法人の場合、サービス業に分類されるので、従業員100人以下であれば中小企業と判断します。ただし、出資持分がある場合は、それを含めて判断することとなります。

2020.10.29賃金の消滅時効について教えてください

令和2年4月1日労働基準法改正により、労働者の賃金請求権についての消滅時効が従来の2年間から5年間に延長されました。

ただし施行規則により「当分の間、3年とする」と猶予期間が設けられました。退職金については従前のまま5年で変更はありません。

これは民法の短期消滅時効が廃止されたことや、従来の2年の消滅時効では請求したくてもできないまま期間を経過するといった現実的な問題を踏まえ、労働者の権利拡充する方向で改正となりました。

これに伴い、賃金台帳などの記録の保存期間も5年に延長され、当分の間は3年間の保存が必要となりました。

この改正は、もし時間外労働等の賃金が法律に則って支払われていなかった場合、未払い賃金の支払い額が増えることを意味します、再度、自院の残業代等の支払い方法が適法か検証する必要がありそうです。

 

2. 健康管理に関すること①健康診断

2021.1.12短時間労働者(パートタイム労働者)の健康診断について教えてください。

 短時間労働者(パートタイム労働者)については次の健康診断を実施しなければなりません。

① 常時使用する短時間労働者に対し、雇入れの際に行う健康診断及び1年以内ごとに1回、定期に行う健康診断
② 深夜業を含む業務等に常時従事する短時間労働者に対し、当該業務への配置替えの際に行う健康診断及び6月以内ごとに1回、定期に行う健康診断
③ 一定の有害な業務に常時従事する短時間労働者に対し、雇入れ又は当該業務に配置替えの際及びその後定期に行う特別の項目についての健康診断
④ その他必要な健康診断

この場合において、事業主が同法の一般健康診断を行うべき「常時使用する短時間労働者」とは、次の①及び②)のいずれの要件をも満たす短時間労働者(パートタイム労働者)です。

① 期間の定めのない労働契約により使用される者(期間の定めのある労働契約により使用される者であって、当該契約の契約期間が1年以上(労働安全衛生規則第13条第1項第2号に掲げる業務に従事する短時間労働者にあっては6月。以下この項において同じ。)である者並びに契約更新により1年以上使用されることが予定されている者及び1年以上引き続き使用されている者を含む。)
 ② 1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3以上

なお、1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分の3未満である短時間労働者であっても上記の①の要件に該当し、1週間の労働時間数が、当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数のおおむね2分の1以上である者に対しても一般健康診断を実施することが望ましいとされています。

2020.10.19健康診断の事後措置について教えてください。

事業者は、健康診断の結果(健康診断の項目に異常の所見があると診断されたものに限ります)に基づき、健康保持のために必要な措置について、医師又は歯科医師の意見を聴かなければなりません(労働安全衛生法(以下「安衛法」)第66条の4参照)。
 この意見聴取の義務は、事業場の規模にかかわりなく(産業医の選任義務の有無にかかわりなく)課されています。
 なお、意見聴取は健康診断が行われた日から原則として3カ月以内に行い、聴取した医師または歯科医師の意見を健康診断の個人票に記載することとされています(労働安全衛生規則(以下「安衛則」)第51条の2参照)。
 そして、健康診断の結果についての医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、その職員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置・整備、医師又は歯科医師の意見の衛生委員会等への報告その他の適切な措置を講じなければなりません(安衛法第66条の5参照)。
 また、職員が自らの健康状態を把握する必要があることから、健康診断の結果を職員に対して遅滞なく通知することが事業者に義務付けられています(安衛法第66条の6、安衛則第51条の4参照)。
 さらに、職員自身による自主的な健康管理を促進するため、健康診断の結果所見を有するような職員に対して、どのようにして健康管理を行うかについて、医師又は保健師による保健指導を実施することが事業者の努力義務となっている一方、職員についても、健康診断の結果や保健指導を利用して健康管理に努めることとされています(安衛法第66条の7参照)。
 事業者は、健康診断個人票を5年間保存し(安衛法第66条の3、安衛則第51条参照)、定期健康診断等の結果報告書を所轄の労働基準監督署長に提出(職員(労働者)数が常時50人以上の場合)しなければなりません(安衛則第52条参照)。
 なお、定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する検診項目(血圧・血中脂質・血糖・腹囲または肥満度)のすべてに所見が見られた場合等に、二次健康診断及び特定保健指導を、労災保険給付の現物給付として無料で受けられます(申請行為が必要であること、請求期間の制限などがあります)。
具体的な措置に関しては、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K170417K0020.pdf)が参考になります。

2020.10.15健康診断について教えてください。

病院で行われる一般健康診断にはいくつか種類があり、事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。
「雇入れ時の健康診断」は、常時使用する労働者が対象で雇入れの際に行います。
また雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う「定期健康診断」があります。
「特定業務従事者の健康診断」は、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務や深夜業を含む業務等が対象となり、その業務への配置替えの際と6月以内ごとに1回の実施が義務づけられています。他にも重量物の取扱いなどいくつか特定業務が定められています。
食堂や厨房で給食の業務に従事する労働者には、雇入れの際と配置替えの際に「給食従事員の検便」の実施が求められます。
その他海外に6ヶ月以上派遣する労働者に対して行う、「海外派遣労働者の健康診断」があります。
労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。健康管理に努めましょう。

4. 労働条件等に関すること①労働契約等

2020.12.9長期の労働契約を結ぶ場合の注意点について教えてください

労基法では、労働契約の期間については、原則として3年を超えてはならないとしていますが、次の2種類の労働契約については5年としています。(労基法14条)
(1)専門的な知識、技術又は経験であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識を有する労働者との間に締結される労働契約
  具体的に医療関係としては、⓵博士の学位を有する者 ⓶医師 ⓷歯科医師 ⓸薬剤師など
(2)満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約
  この場合、高度専門知識等の制約がないので、一般業務従事者でも5年契約を結ぶことも、更新することも可能です。
なお、長期契約は、長く働いてもらえる長所がありますが、反面、定めた雇用期間中の雇用責任があり、途中解雇の場合は、期間の定めのない契約における解雇権乱用法理より制約が厳しいものとなることに注意が必要です。

2020.9.10採用した職員に何を明示すればよいですか?

労働基準法第15条第1項には、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」と規定されています。

明示すべき事項は労働基準法施行規則第5条第1項に規定されており、
(1)労働契約の期間に関する事項
(2)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項
(3)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項
(4)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
(5)退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
(6)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項
(7)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項
(8)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
(9)安全及び衛生に関する事項
(10)職業訓練に関する事項
(11)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
(12)表彰及び制裁に関する事項
(13)休職に関する事項

について明示しなければなりません。
また、これらの内(1)から(5)((4)の内、昇給に関する事項を除く。)については書面の交付により明示が必要になります。

1. 労働時間管理に関すること①時間外労働

2021.1.14時間外労働・休日労働についての労働基準法のきまりと罰則はどのようなものですか

労基法は労働時間について1日8時間、1週40時間の原則を定め(労基法32条)、休日については毎週1日を与えなければならないと定めています。(労基法35条1項)これらに違反した場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が予定されています。(労基法119条1項)
但し、事業場で労使が時間外休日労働に関する労使協定(36協定)を締結していた場合には、36協定で定める時間外労働時間数や休日労働の日数の限度内で、労働させることは可能です。しかし、それを超えて時間外労働をさせたり、休日労働をさせた場合、上記刑罰が適用されることとなります。
平成30年に改正された労基法36条6項で、新たな規制が加わりました。これは、36協定の限度時間や特別条項の上限とは別に、労働者個人の時間外・休日労働時間数が100時間以上となった場合にも、労基法119条1項の違反となります。

2020.12.1136協定の「特別条項」とはどういうものしょうか。どんな手続きが必要ですか。

時間外労働の上限について、大企業は2019年4月以降、中小企業は2020年4月以降の協定から法律上、原則として月45時間・年360時間となりました。(医師については2024年(令和6年)3月31日までの間は、適用されません)

但し、臨時的な特別の事情があるため、原則となる時間外労働の限度時間(月45時間・年360時間)を超えて時間外労働を行わせる必要がある場合には、通常の36協定届(様式第9号)に加え、さらに以下の事項について労使が合意して協定した上(特別条項)で、限度時間を超える場合の36協定届(様式第9号の2)を所轄労働基準監督署長に提出する必要があります。

①臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合における
・1か月の時間外労働+休日労働の合計時間数 (100時間未満)
・1年の時間外労働時間 (720時間以内)
②限度時間を超えることができる回数(年6回以内)
③限度時間を超えて労働させることができる場合
④限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置
⑤限度時間を超えた労働に係る割増賃金率
⑥限度時間を超えて労働させる場合における手続

今回の法改正では、この上限時間内で労働させた場合であっても、実際の時間外労働と休日労働の合計が、月100時間以上または2~6か月平均80時間超となった場合には、法違反となります。このため、時間外労働と休日労働の合計を月100時間未満、2~6か月平均80時間以内とすることを、協定する必要があります。36協定届の新しい様式では、この点について労使で合意したことを確認するためのチェックボックスが設けられています。

そして③限度時間を超えて労働させることができる場合とは、「臨時的な特別の事情がある場合」に限ります。限度時間(月45時間・年360時間)を超える時間外労働を行わせることができるのは、通常予見することのできない業務量の大幅な増加など、臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。

また、④健康・福祉確保措置の内容については、以下のものから定めることが望ましいことに留意してください。
①医師による面接指導
②深夜業(22時~5時)の回数制限
③終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)
④代償休日・特別な休暇の付与
⑤健康診断
⑥連続休暇の取得
⑦心とからだの相談窓口の設置
⑧配置転換
⑨産業医等による助言・指導や保健指導

医師については2024年(令和6年)3月31日までの間は延長時間について上限はありませんが、時間外労働を行うにあたっては36協定の締結と届出は必要であり、延長できる時間もその協定に定められた時間までとなります。不必要な時間外労働を抑制する意味からも、できる限り短い延長時間とするようご留意ください。36協定届は「適用猶予期間中における、適用猶予事業・業務に係る時間外・休日労働を行わせる場合」の様式第9号の4を使用できます。

その他詳細については、厚生労働省が作成したパンフレット「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」をご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000463185.pdf

2020.10.1436協定は誰と結べばいいのですか

 労働基準法で規定する各種労使協定の労働者側の協定当事者は、事業場の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、組合のない場合等は事業場の労働者の過半数を代表する者となっています。しかし、実態は病院の利益を代表する管理職等がこれになっている例が多くみられるようです。
 現在、労働基準法施行規則第6条の2において、過半数代表者の要件が明確に定められています。
 次のいずれにも該当する者となっています
  ①監督または管理の地位にある者でないこと
  ②協定を結ぶことをする者と明らかにして実施される投票、挙手等の手続きにより 
   選出された者であり、使用者の意向に基づき選出された者でないこと
 なお、使用者は、労働者が過半数代表者であることや過半数代表者になろうとしたこと、過半数代表者として正当な行為をしたことを理由として不利益な取り扱いをしてはならないとされています。

2020.8.20残業をする場合は36協定というものが必要だと聞きました。36協定とはどのようなものでしょうか。

 労働基準法では労働時間は原則として1日8時間及び1週40時間以内(「法定労働時間」と言います)で、休日は週1回又は4週4日と定められています。職員にこの時間を超える残業や休日出勤をさせるためには、病院と職員の代表者とで「36協定」を締結し、所轄の労働基準監督署に届出をしなければなりません(締結だけでは足りず、労働基準監督署への届出まで必要です)。
36協定は正確には「時間外・休日労働に関する協定」と言います。36協定の呼び名は、労働基準法36条に規定があることから来ています。
36協定を結ばず、届出もすることなく、職員に法定労働時間を超える残業・法定休日に労働させたら法律違反となり、6ヶ月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金の対象になります。また協定した制限時間を超えて働かせた場合も同じです。また36協定が締結・届出がされていない場合、例え残業代をちゃんと支払ったとしても法律違反は免れません。
なお、36協定が必要なのは「法定労働時間」を超えての残業をさせる必要がある場合であり、「所定労働時間(就業規則や雇用契約書で定められた始業時間から終業時間まで(休憩時間を除く)の労働時間)」を超えても、法定労働時間を超える労働がない場合は不要となりますが、法定労働時間を超える可能性があるのであれば前もって締結・届出をしておいた方がいいです。
詳しくは労働基準監督署にお問い合わせください。

 

2. 健康管理に関すること②メンタルヘルス

2021.1.8「いつもと違う」部下への気づきについて教えてください。

 ラインによるケアで大切なのは、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気付くことです。「いつもと違う」という感じをもつのは、部下がそれまでとは異なる行動をするからです。その例を以下に示しました。速やかな気付きのためには、日頃から部下に関心を持って接し、いつもの行動様式や人間関係の持ち方について知っておくことも重要です。

「いつもと違う」部下の様子
 ○ 遅刻、早退、欠勤が増える
 ○ 休みの連絡がない(無断欠勤がある)
 ○ 残業、休日出勤が不釣合いに増える
 ○ 仕事の能率が悪くなる。思考力・判断力が低下する
 ○ 業務の結果がなかなかでてこない
 ○ 報告や相談、職場での会話がなくなる(あるいはその逆)
 ○ 表情に活気がなく、動作にも元気がない(あるいはその逆)
 ○ 不自然な言動が目立つ
 ○ ミスや事故が目立つ
 ○ 服装が乱れたり、衣服が不潔であったりする

 「いつもと違う」部下に対しては、管理監督者は職務上何らかの対応をする必要があります。管理監督者が「いつもと違う」と感じた部下の話を聴き、産業医のところへ行ってもらう、あるいは管理監督者自身が産業医のところに相談に行く仕組みを事業場の中に作っておくこと等が望まれます。

 なお、話を聴く時のポイントは以下の通りで、こうした話の聴き方を、「傾聴」と言います。

1. 相手を受け止める
 相手に対して関心を持ち、関心を持っていることを表情や態度で相手に伝える。
2. 相手の立場に立つ
 もしも自分が相手と同じような立場に置かれていたら、相手と同じようなことを言ったり、したりするんだろうなぁと考えながら、話を聴く。

 詳しくは、以下が参考になります。
e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるラインによるケア」
https://kokoro.mhlw.go.jp/e-learning/linecare/
職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針~
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055195_00002.html

2021.1.4職場におけるストレス要因について簡単に教えてください。

 まず、どういったときに職場のストレスが大きくなるかについて、仕事の要求度(負荷)が大きく、仕事の自由度が小さく、周囲からの支援が小さい場合に、高ストレス状態となり、職場のストレスが大きくなります。
 そして、ストレス要因としての職場環境には、仕事の負荷や自由度のほかに、作業環境(温度湿度、照明、騒音など)、作業方法(作業スペースや作業姿勢、身体や感覚器官への負荷など)、人間関係、組織形態(指揮命令系統、責任や権限などの仕組み)などが含まれています。
 新しい課題に挑戦し、それを乗り越えた経験等、多少のストレスは人を成長させ、職場の活性化にもつながります。しかし、仕事による過度なストレスは疲労を蓄積し、職員の健康問題を発生させるだけでなく、事故の発生や生産性の低下の要因となります。
 職場環境改善の5つのステップ(①職場環境の評価②職場環境のための組織づくり③改善計画の立案④対策の実施⑤改善の効果評価)や、医療勤務環境改善マネジメントシステム等により、ストレス要因を特定し、できるものから改善していく努力を続けることが大切です。
(参考)
 e-ラーニングで学ぶ「15分でわかるラインによるケア」
https://kokoro.mhlw.go.jp/e-learning/linecare/
 医師の「働き方改革」へ向けた医療勤務環境改善マネジメントシステム導入の手引き(詳細説明版資料)
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/c5108423b39b60946160943e2352c620bb892d26.pdf

2020.12.22メンタルヘルス対策を効果的に進めるためのポイントや、医療従事者の特性に応じた取組のポイントを教えてください。

 ストレスやメンタルヘルス不調の背景には、職場における人間関係やハラスメント、過度な長時間労働等、様々な要因があります。メンタルヘルス対策を効果的に進めるためには、職場環境における課題を把握し、改善を図ることが重要です。
 ただし、ある一時点の状況を切り取ったり、単に労働時間が長いことを理由として、ストレス度が高い職場・低い職場と決めつけることは望ましくないことに留意が必要です。
 そして、各事業場において職場環境における課題を適切に把握するとともに、次のような取組を進めることが重要です。
(1)メンタルヘルス対策に関する方針の表明
 メンタルヘルス対策は、労働者、管理監督者等、それぞれの立場で取り組むことが重要です。メンタルヘルス対策に取り組むことを労働者に周知し、理解・協力を促すとともに、経営層を巻き込んだ組織的な取組につなげていきます。
(2)メンタルヘルス対策に関する計画の策定・見直し
 メンタルヘルス対策が継続的かつ計画的、組織的に行われるようにするためにも、労使の協議のもと、事業場の実態に即した取組を行う必要があります。そのためには、衛生委員会等を活用し、メンタルヘルス対策の計画を策定することが効果的です。
(3)事業場外資源の活用
 事業場によっては、メンタルヘルス不調者への対応が難しい場合があります。そのような場合には、事業場外資源を有効に活用することが重要です。
(4)関係者への理解・協力の呼びかけ
 取組を進めるために、関係者の理解・協力が必要な場合があります。対策を一緒に検討することで、理解・協力を確保する方法があります。
 また、医療従事者の特性に応じた取組のポイントについては、医療は人の命や健康を預かる仕事であるため常に高い緊張にさらされており、安全性を確保しながら適切な医療・きめ細かなケアを提供するためにも、医療従事者の負担軽減による働きやすい職場づくりの重要性が増していることに、まず留意が必要です。
 そして、医師や看護職員を対象とした調査(平成30年版 過労死等防止対策白書)では、業務に関連したストレスや悩みとして、医師では「個別患者の様子」のほか「休日・休暇の少なさ」や「患者(家族)からのクレーム対応・訴訟リスク」が、看護職員では「職場の人間関係」や「夜勤の負担の大きさ」が上位に挙げられ、看護師等の精神障害の労災認定事案をみると、事故への遭遇や災害の体験にまつわるものや、暴力を受けたものがあります。
 したがって、医療従事者における心身の健康を確保するためには、過度の長時間労働の是正や夜勤負担の軽減、対人関係に関する対策に取り組むことが重要であり、看護師等については、事故への遭遇や災害の体験、暴力等に関する予防と事後措置の取組も重要です。
 また、相談しやすい環境づくりも重要です。
 業種や職種が違っても、参考になる取組も多くあるため、こちらの「事業場におけるメンタルヘルス対策の取組事例集」が参考になります。
https://www.mhlw.go.jp/content/000615709.pdf

2020.12.15ワーク・エンゲイジメントを高めるためには、どうすればよいのですか?

 ワーク・エンゲイジメントを高める要因として、仕事の資源、及び個人の資源(心理的資本)があり、これらが満たされれば、ワーク・エンゲイジメントの向上につながります。
 仕事の資源とは、例えば、上司や同僚のサポート、仕事の裁量権、パフォーマンスのフィードバック、コーチング、課題の多様性、トレーニングの機会、等のことです。個人の資源(心理的資本)とは、例えば、自己効力感、組織での自尊心、楽観性、レジリエンス、等のことです。

 仕事の要求度-資源モデル(JD-R モデル)によれば、これらが満たされれば、ワーク・エンゲイジメントを向上させる作用に加え、心理的ストレス反応の低減にも作用します。つまり、個人・仕事の資源の充実は、健康増進とパフォーマンス向上の両者に効果があることになります。なお、職場環境のみならず、十分な休息や趣味など、職場外の要因にも着目することも重要です。

 人手不足下では、職員が、高い仕事の要求度(例えば、仕事のプレッシャー、対人業務における情緒的負担、精神的負担、肉体的負担、等)に直面する可能性が高くなると考えられ、その中で「働きがい」を向上させていくためには、仕事の資源を活用できる環境を整備していくことが、重要な「鍵」となります。

 資源を増加させ、ポジティブな感情の増幅によりワーク・エンゲイジメントが向上し、仕事のパフォーマンスが増加し、これが原動力となり次の資源増加につながる、というサイクルを築くことが重要です。

 

(参考文献)

・厚生労働省 令和元年版 労働経済の分析 -人手不足の下での「働き方」をめぐる課題について-

・使える!健康教育・労働衛生教育 65 選 森晃爾 編 日本労務研究会

2020.11.19ワーク・エンゲイジメントについて、端的に教えてください。

 社会経済状況の変化に伴い、職場のメンタルヘルス活動では、精神的不調への対応やその予防にとどまらず、個人や組織の活性化を視野に入れた対策を行うことが、広い意味での労働者の「こころの健康」を支援する上で重要になってきました。このような流れを受けて 2000 年前後から、心理学および産業保健心理学の領域でも、人間の有する強みやパフォーマンスなどポジティブな要因にも注目する動きが出始めました。このような動きの中で新しく提唱された概念の 1 つがワーク・エンゲイジメント(Work Engagement)(Schaufeli, Salanova, Gonzalez-Romá, et al., 2002; 島津, 2014)です。
 ワーク・エンゲイジメントとは「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意)、「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭)、「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)の 3 つがそろった状態であり、バーンアウト(燃え尽き)(Maslach & Leiter, 1997)の対概念として位置づけられています(ワーク・エンゲイジメントは、活動水準が高く仕事への態度・認知が肯定的であるのに対して、バーンアウトは、活動水準が低く仕事への態度・認知が否定的)。
 また、ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は、心身の健康が良好で、生産性も高いことが分かっています。
 なお、「過度に一生懸命に強迫的に働く傾向」を意味するワーカホリズム(Schaufeli, Shimazu, & Taris, 2009)は、活動水準は高いものの仕事への態度が否定的である点で、ワーク・エンゲイジメントと異なります。

2020.8.1最近、職員に笑顔が見られなくなり、視線を合わせることがなく、伏し目がちになっています。メンタル不調の心配もあり、どうすればよいのか困っています。

まず、職場におけるメンタルヘルス対策に関する基礎をご確認されることをお勧めいたします。

厚生労働省が、労働安全衛生法に基づき「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日公表)を策定し、メンタルヘルスケアの進め方や留意点などを示しています。

職場のストレスには、職員自身の気づきと対処が必要であることのみならず、職場で組織的・計画的にメンタルヘルス対策を行うことが重要です。また、ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じて、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見、適切な措置)、三次予防(不調者の職場復帰支援)を円滑に行う必要があります。

メンタルヘルスケアを進める際の留意点としては、①心の健康問題の特性の理解(個人差があり、評価・プロセスの把握が困難)、②個人情報保護への配慮、③人事労務管理との連携、④家庭・個人生活等の職場以外のストレス要因も影響し合うことをおさえることが大切です。

そして、衛生委員会等で「心の健康づくり計画」を策定(確認)し、4つのケアを行います。4つのケアとは、①職員自身による対処である「セルフケア」、②管理監督者による対処である「ラインによるケア」、③産業医、衛生管理者、保健師等による対処である「事業場内の産業保健スタッフ等によるケア」、④外部機関等による支援である「事業場外資源によるケア」です。

メンタルヘルスケアの進め方としては、個人情報の保護に配慮しつつ、①教育研修・情報提供、②職場環境等の把握と改善、③メンタルヘルス不調への気づきと対応、④休職者の職場復帰における支援を行います。

メンタルヘルス対策は、医療勤務環境改善マネジメントシステムとも密接に関係します。

また、医師に関して、月に4日以下しか休日を取っていない医師が46%おり、医師の53%は自身の体調不良について全く相談しないという報告もあります。

事業場外資源の活用として、医療勤務環境改善支援センターの活用も1つの方法です。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(https://kokoro.mhlw.go.jp/)やいきいき働く医療機関サポートWeb「いきサポ」(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/)などもご参考に、対策を進めていかれてはいかがでしょうか。

1. 労働時間管理に関すること②勤務時間・休日・休憩・勤務シフト

2020.12.28夜勤者の休憩時間について、法令上何時間以上与えないといけませんか

労働基準法第34条において、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を労働時間の途中で与えなければならないことが定められています。

医療の現場では、24時間体制で入院患者の見守り、ケアが必要となります。そのために設けているのが「夜勤」という働き方であり、1か月単位の変形労働時間制を採用し、夜勤者の1日の所定労働時間について8時間を超える時間に設定していることが多いです。その場合の休憩時間数ですが、例えば2交代制で夜勤が16時間勤務の場合だと、8時間×2=2時間必要と考えたくもなりますが、労働基準法では休憩時間数については日勤・夜勤ともに同じであり、16時間勤務の場合であっても「8時間を超える場合は1時間以上」の文言より、業務の途中で1時間与えれば法違反とはなりません。

しかし、夜勤者の作業の能率、健康管理を考えると、まずは休憩をしっかり取らせるよう配慮すべきです。また休憩時間中は労働から解放させる必要があり、休憩時間中の労働者の行動に制約を加えることは禁止されていますが、業務により休憩時間を自由に利用させることができない場合は労働時間と見なし、時間外勤務手当を支給する必要があります。なお、看護協会では16時間夜勤等の長時間勤務の場合、2~3時間の休憩時間の付与が望ましいとしています。

2020.12.2オンコールが労働時間にあたるのか等オンコールの取扱いについて教えてください。

 まず、労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります(労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(平成29年1月20日策定))。
 そして、オンコール待機中に実際の診療が発生した場合、当該診療に従事する時間は労働時間に該当します。
 オンコール待機時間全体が労働時間に該当するかどうかについては、オンコール待機中に求められる義務態様によって判断する必要があります。
 オンコール待機中に求められる義務態様は、医療機関ごと、診療科ごとに様々であり、呼び出しの頻度がどの程度か、呼び出された場合にどの程度迅速に病院に到着することが義務付けられているか、呼び出しに備えてオンコール待機中の活動がどの程度制限されているか等を踏まえ、オンコール待機時間全体について、労働から離れることが保障されているかどうかによって判断するもので、個別具体的に判断されるものです。

2020.11.26医療機関における労働時間制度の活用についてどのようなものがありますか。

医療機関で活用される労働時間制度については、
(1)通常の労働時間制度における交代制勤務(2交代制、3交代制)
(2)1ヶ月単位の変形労働時間制
をとる方法が一般的です。

(1)「通常の労働時間制制度における交代制勤務(2交代制、3交代制)」とは、法定労働時間(原則として1日8時間、1週40時間。但し、常時10名未満の労働者を使用する保健衛生業の場合は1日8時間、1週44時間。)を前提として、あるいはこれに36協定を導入した上で、その範囲内において、変形労働時間制をとることなく、1日の始業時刻・終業時刻を2区分や3区分し、設定する方法です。
例として、午前7時から午後3時まで、午後3時から午後11時まで、午後11時から午前7時までの勤務の3交代制などです。

(2)「1ヶ月単位の変形労働時間制」とは、労使協定または就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより1ヶ月以内の一定期間(単位期間)を平均して1週当たりの労働時間が40時間(常時10名未満の労働者を使用する保健衛生業の場合は44時間)におさまる場合であれば、単位期間の特定の日または週について、1日もしくは1週の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

1か月単位の変形労働時間制の詳細(運用の手順、給与計算)については厚生労働省のリーフレットを参照ください。

2020.11.19医師の研鑽の労働時間該当性を明確化するための手続、及びその適切な運用を確保するための環境の整備について教えてください。

 まず、医師の研鑽について、業務との関連性、制裁等の不利益の有無、上司(業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者)の指示の範囲を明確化する手続を講じます。
 例えば、医師が労働に該当しない研鑽を行う場合には、医師自らがその旨を上司に申し出ることとし、当該申出を受けた上司は、当該申出をした医師との間において、当該申出のあった研鑽に関し、①本来業務及び本来業務に不可欠な準備・後処理のいずれにも該当しないこと、②当該研鑽を行わないことについて制裁等の不利益はないこと、③上司として当該研鑽を行うよう指示しておらず、かつ、当該研鑽を開始する時点において本来業務及び本来業務に不可欠な準備・後処理は終了しており、本人はそれらの業務から離れてよいこと、について確認を行うことが考えられます。
 なお、上司は、業務との関連性を判断するに当たって、初期研修医、後期研修医、それ以降の医師といった職階の違い等の当該医師の経験、担当する外来業務や入院患者等に係る診療の状況、当該医療機関が当該医師に求める医療提供の水準等を踏まえ、現在の業務上必須かどうかを対象医師ごとに個別に判断します。
 手続は、労働に該当しない研鑽を行おうとする医師が、当該研鑽の内容について月間の研鑽計画をあらかじめ作成し、上司の承認を得ておき、日々の管理は通常の残業申請と一体的に、当該計画に基づいた研鑽を行うために在院する旨を申請する形で行うことも考えられます。また、労働に該当しない研鑽を行おうとする医師が、当該研鑽のために在院する旨の申し出を、一旦事務職が担当者として受け入れて、上司の確認を得ることとすることも考えられます。
 次に、これらの手続について、その適切な運用を確保するために次の措置を講ずることが望ましいとされます。
(ア)労働に該当しない研鑽を行うために在院する医師については、権利として労働から離れることを保障されている必要があるところ、診療体制には含めず、突発的な必要性が生じた場合を除き、診療等の通常業務への従事を指示しないことが求められる。また、労働に該当しない研鑽を行う場合の取扱いとしては、院内に勤務場所とは別に、労働に該当しない研鑽を行う場所を設けること、労働に該当しない研鑽を行う場合には、白衣を着用せずに行うこととすること等により、通常勤務ではないことが外形的に明確に見分けられる措置を講ずることが考えられること。手術・処置の見学等であって、研鑚の性質上、場所や服装が限定されるためにこのような対応が困難な場合は、当該研鑚を行う医師が診療体制に含まれていないことについて明確化しておくこと。
(イ)医療機関ごとに、研鑽に対する考え方、労働に該当しない研鑽を行うために所定労働時間外に在院する場合の手続、労働に該当しない研鑽を行う場合には診療体制に含めない等の取扱いを明確化し、書面等に示すこと。
(ウ)上記(イ)で書面等に示したことを院内職員に周知すること。周知に際しては、研鑽を行う医師の上司のみではなく、所定労働時間外に研鑽を行うことが考えられる医師本人に対してもその内容を周知し、必要な手続の履行を確保すること。また、診療体制に含めない取扱いを担保するため、医師のみではなく、当該医療機関における他の職種も含めて、当該取扱い等を周知すること。
(エ)医師本人からの申出への確認や当該医師への指示の記録を保存すること。なお、記録の保存期間については、労働基準法第109条において労働関係に関する重要書類を3年間保存することとされていることも参考として定めること。

詳しくは、以下の二つの通達をご確認ください。
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/8409f492f42ad468a0c15b1e2e6c6c56900ab1c3.pdf

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/49fa4a893745eb8515bd9d3d3786ed6794314276.pdf

2020.11.9医師の研鑽の労働時間該当性に関する考え方等について教えてください。

 まず、所定労働時間内において、医師が、使用者に指示された勤務場所(院内等)において研鑽を行う場合については、当該研鑽に係る時間は、当然に労働時間となります。
 他方、所定労働時間外に行う医師の研鑽は、診療等の本来業務と直接の関連性なく、かつ、業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者(以下「上司」という。)の明示・黙示の指示によらずに行われる限り、在院して行う場合であっても、一般的に労働時間に該当しません。
 しかし、当該研鑽が、上司の明示・黙示の指示により行われるものである場合には、これが所定労働時間外に行われるものであっても、又は診療等の本来業務との直接の関連性なく行われるものであっても、一般的に労働時間に該当するものとなります。
 詳しくは、以下の二つの通達をご確認ください。
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/8409f492f42ad468a0c15b1e2e6c6c56900ab1c3.pdf

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/49fa4a893745eb8515bd9d3d3786ed6794314276.pdf

2020.10.8「所定労働時間」(就業規則)と「病棟勤務時間数」(診療報酬算定:様式9)の考え方について教えてください。

 例えば、日勤時間帯を「9:00~17:00」、夜勤時間帯を「17:00~9:00」とします。
 夜勤時間帯は、労働基準法上の深夜業の「22:00~5:00」を含む時間帯となります。

〇始業時刻が8:30、終業時刻が17:00(休憩60分)の場合
・就業規則上の所定労働時間:7時間30分
・様式9の病棟勤務時間数:8時間30分、日勤帯勤務時間数:8.0時間、夜勤帯勤務時間数:0.5時間
となります。

〇始業時刻が12:30、終業時刻が21:00(休憩60分)の場合
・就業規則上の所定労働時間:7時間30分
・様式9の病棟勤務時間数:8時間30分、日勤帯勤務時間数:4.5時間、夜勤帯勤務時間数:4.0時間
となります。

 休憩や仮眠に充てた時間は病棟勤務時間数に含みますが、
 カンファレンス会議や法令研修以外の研修など病棟外での活動は勤務時間数に含みません。

 労働基準法では所定労働時間が基準になりますので、両者の違いを理解し、
 どちらにおいても基準を満たすようにご注意ください。
 

2020.9.10祝日に働かせたら休日割増賃金を支払わなければなりませんか?

 労働基準法では、休日は、週1日あるいは4週を通じて4日与えなければならず(法定休日)、
この法定休日に労働させる場合は36協定の締結・届出と割増賃金の支払いが必要です。
 法定休日以外の休日であり、労働を免除された日であり、労働させた場合は、その分の賃金(割
増賃金は不要)の支払いが必要となります。

2020.9.10台風による休業でも休業手当が必要ですか?

労働基準法第26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中、労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない」と規定しています。 「使用者の責に帰すべき事由による休業」とは、使用者が、休業になることを避けるため社会通念上最善の努力をしたかどうか、によって判断されることになります。通常、不可抗力による場合以外は、使用者の責に帰すべき事由に該当すると考えられます。 
具体的には、天災地変の場合や、休電による場合などは、使用者の責めに帰すべき休業とはなりません。台風など、天災地変による不可抗力の場合は、休業手当を支払う必要はありません。この場合、年次有給休暇への振替も考えられますが、強制ではなく、あくまで本人の申し出ないしは、希望により振り替える必要があります。

2020.9.10労働時間について教えてください。

従業員の労働時間は、労働基準法によって制限が規定されています。
1日の労働時間は、8時間まで。1週間の労働時間は40時間までです。
1日の労働時間が6時間を超え8時間以下であれば、45分以上の休憩時間を取らせなければなりませんし。8時間を超えれば60分以上の休憩時間を労働時間の途中でとらせなければなりません。1日または1週間の労働時間の上限を超える場合、労使協定(事業主と労働者代表との書面による協定)を締結しなければなりません。

2020.9.10「休日振替」と「代休」は違うと言われましたが、どう違うのですか?

 「休日振替」とは、あらかじめ休日と定められた日を別の日に振り替え、その代わりに、あらかじめ休日と定められていた日を労働日(出勤日)とすることです。このように、事前に休日振替をした場合は、本来の休日と労働日を入れ替えたことにより、休日労働としての割増賃金の対象にはなりません。(なお、振替を行った結果、新たに労働日となった週において、法定労働時間を超えることとなった場合は、時間外労働としての割増賃金を支払う必要が生じる場合があります。)
 
 「代休」とは、休日労働をさせた後で、その休日労働の代わりに、他の労働日の勤務を免除するものです。「代休」の場合は、休日振替と異なり、事前に休日を労働日とする手続きが採られていないため、その日はあくまで休日のままで、その日に労働させることは休日労働となり、割増賃金の対象となります。

2020.9.10「休日労働」とはどのような場合ですか?

「休日」とは、事業主と従業員との間での労働契約において労働の義務のない日をいいます。労働基準法では、休日は最低1週1日、または4週4日与えなければなりません。
このように労働基準法で定められた休日を「法定休日」といいます。
「休日労働」とは、「法定休日」に従業員に労働させることをいいます。
たとえば、毎週日曜日が事業所での法定休日とすると、週休2日制で土曜日も休日だとしても、日曜日の勤務は「休日労働」ですが、土曜日の勤務は「休日労働」ではない、ということになります。
「休日労働」をさせた場合の割増賃金は労働基準法で35%と決められていますので、
上記の場合は、日曜日に勤務した場合は35%の割増賃金の支払いが必要ですが、
土曜日の休日に勤務した場合は35%の割増賃金の支払いは不要です。しかし、土曜日の休日に勤務した結果、週40時間を超える場合は「時間外労働」となり、25%の割増賃金が必要となります。

2020.8.20所定労働時間と法定労働時間とは何が違うのですか。

労働時間の長さは原則として1日8時間及び1週40時間以内(休憩時間を除く)と法律(労働基準法第32条)で制限されており、この時間を「法定労働時間」と言います。
所定労働時間とは、労働契約で定められた勤務時間(勤務シフト)のことで、具体的には就業規則や雇用契約書で定められた始業時間から就業時間まで(休憩時間を除く)の時間を言います。所定労働時間は、労働基準法で決められた「法定労働時間」の範囲内で、自由に設定することができます。
※例外として、変形労働時間制を採用している場合は、特定の日、週においてあらかじめ1日8時間及び1週40時間を超えて所定労働時間を設定することができます。

4. 労働条件等に関すること②就業規則・給与制度・人事制度

2020.11.12正職員6名・パートタイマー4名でも就業規則は必要ですか

「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則を作成し、届け出なければならないとされています(労基法89条)
 この場合の常時10人とは、常用雇用の労働者が10人ということではなく、その事業場に常時何人ぐらいの労働者を使用しているかが判断基準になります。これは、いつでも常にということではなく、大体10人以上いるが、時には10人を下回る場合をいいます。逆に、いつもは10人はいないが、繁忙期には20人になるといった場合は常時10人には当てはまらないと考えられます。雇用形態の差(正職員・パート)は問題とならず、事業場としていつも何人いるかが問題です。つまり正職員6名・パート4名の場合、就業規則の作成義務があるということになります。
 この場合、一部の職員である正職員用の就業規則だけ作成すればいいのではなく、パートタイマーに適用する就業規則も作成する必要があります。正職員用の就業規則をパートタイマーにも適用すれば、法律的にはいいのですが、雇用形態で労働条件(賃金制度・退職金制度等)が異なる場合、それぞれに適した就業規則を別個に作ることが実務上必要になってくると思われます。

2020.9.29就業規則にはどのようなことを記載すればいいでしょうか

就業規則に記載する内容には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。
絶対的必要記載事項とは、必ず記載しなければならないもので、勤務時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職に関することが当てはまります。
絶対的必要記載事項は次のとおりです。
1.労働時間関係
始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合 においては就業時転換に関する事項
2.賃金関係
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職関係
退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

相対的必要記載事項とは、会社で独自に定めているもの(退職手当、賞与等の臨時の賃金、安全及び衛生等)があれば、記載しなければならないこととなっています。
相対的必要記載事項は次のとおりです。
1.退職手当関係
適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
2.臨時の賃金・最低賃金額関係
臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項
3.費用負担関係
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
4.安全衛生関係
安全及び衛生に関する事項
5.職業訓練関係
職業訓練に関する事項
6.災害補償・業務外の傷病扶助関係
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
7.表彰・制裁関係
表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
8.その他
事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項

5. 働き方改革に関すること②年5日の年次有給休暇の確実な取得

2020.11.17年5日の年次有給休暇の確実な取得とは何ですか。

年次有給休暇は、働く方の心身のリフレッシュを図ることを目的として、原則として、労働者が請求する時季に与えることとされています。しかし、取得率が低調な現状にあり、年次有給休暇の取得促進が課題となっています。

このため、労働基準法が改正され、2019年4月から、すべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者(管理監督者を含む)に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得されることが義務化されました。

ポイント1:対象者
年次有給休暇が10日以上付与される労働者

ポイント2:年5日の時季指定義務
使用者は、労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について、取得時期を指定して年次有給休暇を取得させなければなりません。

ポイント3:時期指定の方法
使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った時期指定になるように聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。

ポイント4:時期指定を要しない場合
既に年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時期指定をする必要はなく、また、することもできません。

ポイント5:年次有給休暇管理簿
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。

ポイント6:就業規則への規定
使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時期指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。

基準日を統一したり、計画表を作成するなど、また仕事はチームで行い休みやすい職場環境を構築するなど休暇取得に向けた環境づくりに取組みましょう。

4. 労働条件等に関すること③その他(労働条件等)

2020.9.11勤務体制などの労働条件を変更したいと考えています。どんなことに注意しなければならないでしょうか。

労働条件の変更は、就業規則や労働協約によるか、個々の労働者の個別の合意を得ないといけません。労働者の同意のない一方的変更は、労働基準法第2条により無効です。
労働者が労働条件の一方的不利益変更に同意していた場合でも、法令、労働協約、就業規則に違反しているときには、不利益変更の同意は無効ということになります。労働条件の変更を行う際は、「合理性」に配慮しなければならないとされています。
合理性は、次のような要素を総合的に判断して行われることになります。
(1)労働者が被る不利益の程度
(2)事業所の必要性の内容・程度
(3)変更内容自体の相当性
(4)代償措置その他の労働条件の改善状況
(5)労働組合などとの交渉の経緯
(6)同種事項に関する社会一般の状況
(7)特に大きな不利益を被る者への経過措置(激変緩和措置)
これらのことを踏まえて変更の協議を行ってください。

3. 職場の環境整備に関すること③その他(職場の環境整備)

2020.8.20新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置により妊娠中の女性労働者が休業する場合、どのような支援があるのでしょうか。

令和2年5月7日から同年12月31日までの間に新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として、医師または助産師の指導により、休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が取得できる有給の休暇制度(年次有給休暇を除き、年次有給休暇の賃金相当額の6割以上が支払われるものに限る)を整備し、当該有給休暇制度の内容を新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置の内容とあわせて労働者に周知した事業主であって、令和2年5月7日から令和3年1月31日までの間に当該休暇を合計して5日以上取得させた事業主に対して、対象労働者1人当たり有給休暇計5日以上20日未満:25万 *1事業所当たり20人まで以降20日ごとに15万円加算(上限額:100万円)が助成されます。申請期間は令和2年6月15日から令和3年3月1日までとなっております。
支給要件の詳細や具体的な手続、支給申請書のダウンロードはこちらから
(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11686.html)お願いします。

5. 働き方改革に関すること③同一労働同一賃金

2020.12.24同一労働同一賃金について教えてください

少子高齢化の進展により人手不足が深刻さを増していく中、持続的に成長していくためには、短時間・有期雇用労働者が活躍できる職場環境を整備し、労働者から選ばれる企業となることが大切です。そのためには通常の労働者との不合理な待遇差を解消し、短時間・有期雇用労働者が納得して働ける待遇を実現することが求められます。

そこで2017年3月に働き方会改革実現会議において「働き方改革実行計画」が決定され、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消、いわゆる「同一労働同一賃金」の実現に向けて法整備とガイドラインの整備がスタートしました。

それから2018年6月には「働き方改革関連法」が国会において成立し、関係する法律である「パートタイム労働法」「労働契約法」「労働者派遣法」が改正されました。そして「パートタイム労働法」は「パートタイム・有期雇用労働法」に変更されることになりました。大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日が施行日となります。

主な改正ポイントは、
・不合理な待遇差を解消するための規定の整備
  その中心となる考え方がいわゆる「均等待遇」と「均衡待遇」になります。両方を実現すること
 が求められます。
・労働者に対する待遇に関する説明義務
  雇入れ時には、実施する雇用管理改善に関する措置の内容、求めがあった場合には、通常の労働者
 との間の待遇差の内容、その理由について説明することが義務化されました。

よって、就業規則や賃金規程を見直すには相応の時間を要しますので、対応は計画的に進めましょう。

1. 労働時間管理に関すること③年次有給休暇

2021.1.151週間の労働日数が変わった場合、有休付与日数はどうなるのですか?

雇用契約の更新・変更等で週の所定労働日数に増減が生じた場合でも、変更後の労働日数に応じた年次有給休暇が付与されるのはあくまで「変更後に迎える最初の基準日」です。
例えば、勤務日数が増えた場合、週の所定労働日数が増えたタイミングで即時に有休を追加する必要はありません
また、週所定労働日数が減った場合でも、既に付与した有休はそのまま付与済みの有休を減らす取り扱いはしません。
有休付与はあくまで「基準日」ベースで行うものですから、こうした処理は不要です。

2020.11.24有給休暇の買い上げはどんな時認められますか

有給休暇の買い上げについては、「年次有給休暇の買い上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じ、ないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である」とされています。
ただし、いかなる時もできないかというと、結果的に消化しきれなかった有給休暇については、限定的に買い上げが認められます。
⓵ 2年の時効により請求できなくなった有給休暇
⓶ 退職時に請求不可能となる未消化有給休暇
しかしながら、⓵⓶の場合であっても、限定的な対応となります、これが恒常的・既成事実化すると、逆に有給休暇の取得を阻害することになります。

2020.11.6年次有給休暇について、1時間単位で取得が可能と聞きました。どのような手続きが必要ですか。

労働基準法第39条は、労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持培養を図るとともに、ゆとりある生活の実現にも資するという趣旨から、毎年一定日数の有給休暇を与えることを規定しています。年次有給休暇は原則1日単位ですが、治療のために通院したり、子どもの学校行事への参加や家族の介護など、労働者のさまざまな事情に応じて、柔軟に休暇を取得できるよう、労使協定の締結により、年5日の範囲内で、時間単位での取得が可能となります(労働基準法第39条第4項)。

時間単位の年次有給休暇制度(以下「時間単位年休」といいます。)を導入する場合には、常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則に年次有給休暇の時間単位での付与について定めることが必要です。

そして実際に時間単位年休を導入する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との間で、書面による協定(労使協定)を締結する必要があります。なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。
労使協定で定める項目は次のとおりです。

【時間単位年休の対象者の範囲】
対象となる労働者の範囲を定めます。仮に、一部の者を対象外とする場合には、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。「育児を行う労働者」など、取得目的などによって対象範囲を定めることはできません。

【時間単位年休の日数】
1年5日以内の範囲で定めます。

【時間単位年休1日分の時間数】
1日分の年次有給休暇が何時間分の時間単位年休に相当するかを定めます。1時間に満たない端数がある場合は時間単位に切り上げてください。
(例)所定労働時間が1日7時間30 分の場合は8時間となります。

【1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数】
2時間単位など1日の所定労働時間を上回らない整数の時間を単位として定めます。

なお、平成31 年4月より、使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10 日以上の全ての労働者に対し、年5日の年次有給休暇を確実に取得させることが必要となっていますが、時間単位年休の取得分については、確実な取得が必要な5日から差し引くことはできませんので、注意が必要です。

就業規則への記載、労使協定例は「働き方・休み方改善ポータルサイト」を参照ください。
https://work-holiday.mhlw.go.jp/holiday/time-unit.html

 

2020.9.10新型コロナウィルス感染により小学校等が臨時休業になり、子どもの世話をするために休暇を取得する場合、どのような支援がありますか。

従業員に法定の年次有給休暇と別に、特別の有給の休暇を取得させた企業に対し、休暇中に支払った賃金全額(1日8,330円(4/1以降に取得した有給休暇は15,000円)が上限)助成する制度があります。令和2年2月27日から9月30日までの間に取得した休暇が対象になります。「小学校休業等対応助成金」

2020.9.10新型コロナウイルス感染症への対応として、対象家族の介護をするために休暇を取得する場合、どのような支援があるのでしょうか。

介護サービスを利用していた家族又は利用しようとしていた家族が、事業所の休業により介護サービスを利用できなくなってしまい、その対応として労働者が当該家族を介護するための特別の有給休暇を設け、仕事と介護の両立支援制度の内容を含めて社内に周知し、当該休暇を合計5日(所定労働日ベース)以上労働者に取得させた場合に支給される助成金制度があります。(両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)「新型コロナウイルス感染症対応特例」)令和2年4月1日から令和3年3月31日までの間に取得した休暇が対象になります。

2020.9.10新型コロナウィルスに関連して年次有給休暇、休業手当、傷病手当金はどの様なケースのときに該当しますか。

新型コロナウィルスに感染しているのか、要請による休業なのか、自主的な休業なのかなど状況により異なってきます。
・年次有給休暇
 感染は不明だが、体調が悪いので病院にいく、少し発熱があるので休みたい等自主的に会社を休む場合は年次有給休暇の取得や病気の休暇制度があればそちらを利用することができます。
・休業手当
 国や県からの休業要請に応じ、また会社と協定を結び休業した場合など、会社が判断して休業を行う場合は「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当するので休業手当が支給されます。会社は状況に応じて支払った平均賃金の6割以上の休業手当が、解雇の有無等で異なりますが、「雇用調整助成金」を申請すると全額支給されます。(~6月休業分の申請は9月まで)
・傷病手当金
 実際に新型コロナウィルスに感染し、都道府県知事が行う就業制限により休業する場合は、療養のために労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日(4日目)から、健康保険から傷病手当金が支給されます。

2020.9.10年休の5日取得義務について休職中の労働者についても取得させる必要がありますか。

例えば年休の基準日から1年間の間ずっと休職中であった場合など、使用者にとって義務の履行が不可能な場合は法違反は問われません。
また基準日から1年間のうち途中から休職した場合や、逆に途中から復職した場合などで、当該1年間から休職期間を除いた残りの期間における労働日が、使用者の指定すべき年休の残日数より少ない場合も義務の履行は不可能となります。
逆に当該残りの期間における労働日が5日以上ある場合は、取得状況について注意しましょう。

2020.9.8Q 年5日の有給休暇の取得は、パートタイマーも対象になりますか。

A 年5日の有給休暇を取得させなければならない労働者とは、有給休暇が10日以上付与される労働者になります。
パートタイマー労働者でも週所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上の労働者
(1年間の所定労働日数が217日以上)は、一般の労働者と同じ有休が付与されますので、
年5日の取得義務があります。
それ以外のパートタイマー労働者でも、所定労働日数に応じて比例付与され、有休が10日以上付与されると、5日の取得義務の対象になります。
10日とは残日数ではなく、1年間に付与される日数をいいます。

2020.9.2定年後再雇用者の年休付与日数について

Q 定年退職時に年20日の年次有給休暇を付与されていた場合、定年後に再雇用された際の年次有給休暇の付与は、6ヶ月後に10日付与でよろしいでしょうか?

A 定年後の再雇用にあたっては、継続勤務しているものとみなして、勤続年数を通算することとされています。
 たとえば、正職員として6年6ヶ月以上勤務した職員が定年後再雇用された場合は、定年再雇用時に付与されていた年次有給休暇は、そのまま保持することになり、さらに前年度に消化していない繰越日数がある場合は、そのまま継続して保持することとなります。

2. 健康管理に関すること③腰痛・感染症予防等

2020.8.20最近、腰痛の発生原因に心理社会的要因も関与していることが明らかになってきたという話を聞きました。それについて簡単に教えてください。

腰痛の発生原因における心理社会的要因についてですが、明らかな原因疾患のない非特異的腰痛について、職場でのストレスや、腰痛が悪化することへの不安感が脳機能の不具合を起こし、筋肉の緊張や痛みの過敏化を引き起こすことが、最近の脳科学で明らかになってきているようです。
 Fear-Avoidance model(恐怖回避思考モデル)において、「私の腰痛は決して良くならない」、「この痛みには耐えられない」、「私は痛みに対処できない」などの痛みに対する歪んだ認知(思考)が負のスパイラルを始動し、痛みに対する不安、恐怖からの回避行動(腰を大事にする、腰痛ベルトを常につける、腰に負担がかかる作業はしない、仕事を休むなど)を助長します。そして、不活動が、抑うつ、社会生活への適応障害ももたらし、さらに痛みを遷延化させてしまうのです。
 非特異的腰痛の場合、痛みを楽観的に考え、多少痛くても、身体を動かすことも重要であると言えそうです。
 平成30年度 厚生労働科学研究費補助金 労働安全衛生総合研究事業「労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究(H28 – 労働- 一般- 004)」の成果物として、「職場での腰痛対策の進め方」が、労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する島津明人氏の研究室ホームページよりダウンロードできますので、ご参考にされてください。
 「職場での腰痛対策の進め方」(https://hp3.jp/wp-content/uploads/2019/06/06.pdf)

2. 健康管理に関すること④その他(健康管理)

2020.10.2職員の健康管理や健康確保について、何か役立つ情報があったら教えてください。

健康管理や健康確保についての役立つ情報の一つとして、ストレスマネジメントについてご紹介いたします。米国国立職業安全保健研究所(NIOSH)の職業性ストレスモデルによれば、仕事のストレス要因(人間関係や長時間労働、役割上の葛藤など)や、仕事以外の要因(家庭の状況など)、個人的要因(年齢や性格など)によって引き起こされるストレス反応(イライラ感、だるさ、過食など)が持続することで、ストレス関連疾患が発症すると考えられています。
なお、緩衝要因(ストレス反応の発現を抑える要因)は、個人を支える社会的支援(上司・同僚・家族)が含まれ、日ごろから何でも話し合える友人や家族などとの関係を作っておけることが大切です。
 上手なストレス対処法としましては、ストレスに強くなるライフスタイル(運動・スポーツ・睡眠・休養・栄養)や、リラクセーション法(漸進的筋弛緩法・呼吸法・自律訓練法・ストレッチング・ヨガ・ピラティス・つぼマッサージ・入浴・アロマテラピー・音楽など)、相談などがあります。
なお、漸進的筋弛緩法とは、全身の筋肉を弛緩する方法のひとつで、最初に軽く筋緊張をしてから弛緩する方法です。呼吸法とは、腹式呼吸や、メトロノームなどの外的道具を用いるペーシング呼吸などのことです。自律訓練法とは、過緊張した交感神経を沈静化して、逆に副交感神経の活性を高めることで自律神経系のバランスを回復させる効果のある、一種の自己催眠法のことです。
 ストレスに気づくことが、まずはストレス対策の第一歩です。日ごろからリラクセーションなどを取り入れ、自分と環境との関係を見つめる機会を持つことが大切です。また、ご自分での対処が困難な場合は、事業場内外の相談窓口を利用することもご検討ください。

1. 労働時間管理に関すること⑤その他(労働時間管理)

2020.11.16医師、看護師等の宿日直許可基準について教えてください。

 そもそも、使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間は、手待時間として労働時間とみなされるのが原則です。
 しかし、労働密度がまばらであり、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働に従事するものについて、労働基準法上、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外しています。
 これは、通常の労働者と比較して労働密度がまばらであり、労働時間、休憩、休日の規定を適用しなくても、必ずしも労働者保護に欠けるところがないので、労働時間規制が適用除外となっています。但し、緊急の対応等を行った場合は、その時間は労働時間とされます。
 そして、「断続的労働」の一態様である「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」については、所定労働時間外又は休日における勤務であって、労働者の本来の業務は処理せず、構内巡視、文書・電話の収受又は非常事態に備えて待機するもので、常態としてほとんど労働する必要のない勤務が許可の対象とされているところ(後述の※「一般的な」宿日直許可の基準(参考)を参照してください)ですが、医療法第16条の規定により「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」とされている関係から、医師・看護師等の本来業務であっても特定の軽易な業務については、宿日直勤務中に処理しても差し支えないこととなっています。
 詳しくは、以下の二つの通達をご確認ください。
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/5197674079eafb4e58810452e558f34d91450005.pdf

https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/49fa4a893745eb8515bd9d3d3786ed6794314276.pdf

※「一般的な」宿日直許可の基準(参考)
一 勤務の態様
イ 常態として、ほとんど労働をする必要がない勤務のみを認めるものであり、定時巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。
ロ 原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって、始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること。
二 宿日直手当
宿日又は日直の勤務に対して、相当の手当が支給されることを要し、具体的には、次の基準によること
イ 宿直勤務一回についての宿直手当(深夜割増賃金を含む。)又は日直勤務一回についての日直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われる賃金(法第三十七条の割増賃金の基礎となる賃金に限る。)の一人一日平均額の三分の一を下らないものであること。ただし、同一企業に属する数個の事業場について、一律の基準により宿直又は日直の手当額を定める必要がある場合には、当該事業場の属する企業の全事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者について一人一日平均額によることができるものであること。
ロ 宿直又は日直勤務の時間が通常の宿直又は日直の時間に比して著しく短いものその他所轄労働基準監督署長が右イの基準によることが著しく困難又は不適当と認めたものについては、その基準にかかわらず許可することができること。
三 宿日直の回数
許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については、宿直勤務については週一回、日直勤務については月一回を限度とすること。ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は日直を行いうるすべての者に宿直又は日直をさせてもなお不足でありかつ勤務の労働密度が薄い場合には、宿直又は日直業務の実態に応じて、週一回を超える宿直、月一回を超える日直についても許可して差し支えないこと。
四 その他
宿直業務については、相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。

2020.9.25ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、労使の自主的な取組が重要とされていますが、その取組を進めるための具体的な手法等が示されている「労働時間等見直しガイドライン」の内容を端的に教えてください。

 端的に申し上げますと、まず、取組体制を整備するポイントとして、①労働時間等の実態を時間当たりの業務負担の度合いなども含めて把握し、②労使が話し合う機会を整え、③個別の要望・苦情に対応できる体制をつくり、④業務を見直し、⑤取組計画を作成して取組むことが挙げられます。
 そして、一般的な取組メニューとして、①多様な事情や業務の態様に対応した労働時間制度(変形労働時間性等)、②年次有給休暇を取得しやすい環境の整備(年次有給休暇を取得しやすい雰囲気づくり・年次有給休暇の計画的付与・取得率の目標設定の検討・長期休暇の取得促進・時間単位の年次有給休暇制度の活用等)、③時間外・休日労働の削減(労働時間に関する意識改革・「ノー残業デー」「ノー残業ウィーク」の導入や拡充等)、④労働時間管理の適正化、⑤多様な正社員、ワークシェアリング、テレワーク等、⑥勤務間インターバル等があります。
 また、労働者の個別の事情に配慮した労働時間等の設定を改善するための取組として、①心身の健康保持に配慮する必要がある労働者(メンタルヘルスケアの実施等)、②育児介護をする労働者(男性が育児等に参加しやすい環境を作る等)、③妊娠中や出産後の女性労働者(妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等)、④公民権の行使・公の職務の執行をする労働者(公民権の行使・公の職務の執行のための休暇制度等)、⑤単身赴任・自己啓発・地域活動を行う労働者(始・終業時刻の繰上げ・繰下げ等)などがあります。
 こちらの周知・広報用パンフレットが参考になりますのでご確認いただければと思います(https://www.mhlw.go.jp/content/000555909.pdf)。

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