労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

①その他の労務管理6. その他の労務管理Q&A

2021.4.7就業規則に規定した、退職者に対する秘密保持義務は有効ですか

在職中の職員に対しては、雇用関係から発生する誠実義務の一つとして、秘密保持義務が存在するといわれています。実際は、就業規則に明記されていることが多いと思います。近年、個人情報等を厳しく管理することが求められています。退職者の秘密保持についても順守を求めることは当然と言えます。
就業規則は、病院の秩序維持を目的とする以上、在職者の権利義務を中心に規定されることから、退職者の義務については規定されていない病院も見受けられますが、病院の秩序維持のため合理的であれば、退職者の義務についても就業規則に定めることは可能です。
就業規則の在職職員の秘密保持の条文に「退職後も同様の義務を負う」旨の規定を備えておくべきです。更に、個別の誓約書の提出を受ければ、より確実といえるでしょう。

2021.3.23令和3年4月1日施行される高年齢者雇用安定法の改正について教えてください

高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。高年齢者が長年培った知識・経験を十分に活かし、意欲と能力のある限り社会の支え手として活躍し続けることのできる社会の構築が求められています。

〇これまでの高年齢者雇用安定法 ~65歳までの雇用確保(義務)~
・60歳未満の定年禁止
・・事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。
・65歳までの雇用確保措置
・・定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。
・・・① 65歳までの定年引き上げ
・・・② 定年制の廃止
・・・③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入

〇改正のポイント ~70歳までの就業機会の確保(努力義務)~
65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(令和3年4月1日施行)
・① 70歳までの定年引き上げ
・② 定年制の廃止
・③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
・・(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
・④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
・⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
・・a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
・・b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

●「厚労省 高年齢者雇用対策 70歳」検索

※看護師の人材確保・人材不足解消の対策が求められています。継続雇用の勤務体系をフルタイム以外にも短時間や短日の勤務を取り入れて柔軟に働ける制度を設けたり、勤務場所も病院に加え他の施設も選択できるようにしたり、健康面や個人の事情に合わせた働き方が選択できるような長く働ける環境整備、人材育成がポイントになります。多様な職種の人材が柔軟な勤務体系で長期間の継続雇用が実現することで若い世代にとってもモチベーションの向上が図られ、退職者の再雇用につながる効果も期待できるのではないでしょうか。

2021.3.12副業・兼業を認める場合の注意点について教えてください

これまでは、本業に対する支障や企業秘密の漏洩・競業・利益相反等の点から副業・兼業が認められないケースが多数でしたが、キャリア形成といった自己実現の追求、十分な収入の確保といった理由から、副業兼業を希望する職員が出てきました。
政府は「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の一つとして副業・兼業の普及促進を図っており、厚生労働省においても「副業兼業の促進に関するガイドライン」を作成しています。
副業兼業を容認する場合は、ただ黙認するのではなく、就業規則において一定のルールを定める必要があります。
厚生労働省が示した就業規則のモデルでは、原則として副業・兼業を認めた上で、届け出制とし、
①労務提供上の支障がある場合 ②企業秘密が漏洩する場合 ③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 ④競業により、企業の利益を害する場合
といった禁止・制限できる場合を挙げています。
また、労働基準法38条に「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とされており、職員から副業・兼業の内容の申告だけでなく労働状況の申告を受け、労働時間を詳細に管理する必要があります。そして、副業・兼業により健康を害することがないよう必要な健康確保措置を講じておく必要もあります。

2021.2.19業務委託が偽装請負(労働者派遣)となる場合を教えてください。

請負(業務委託)とは「いついつまでに、これこれの仕事をやってください」という形で仕事を受けることです。
実態としては労働者派遣であるのに、請負という形だけをとった「偽装請負」と考えられるものがあります。形式的に請負契約(業務委託契約)がなされていても、実質的には受託者の労働者を職員と同様に指揮・命令して、業務を遂行しているといったケースです。
請負と派遣との違いは、請負は発注者と受託労働者との間に指揮・命令権あるか、ないかがポイントです。
「偽装請負」は、職業安定法、労働基準法、労働者派遣法などに違反し、違法です。

2021.1.22職員を解雇する場合の「解雇予告除外認定制度」について教えてください

職員を解雇する場合は、少なくとも30日前に解雇を予告するか、それをしない場合は、30日分以上の解雇予告手当を支払わなくてはなりません。(労基法第20条)ただし、天災事変その他やむをえない事由により解雇する場合や労働者の責に帰すべき事由より解雇する場合は、行政官庁(労働基準監督署)の認定を受けることで、前記予告や予告手当を支払うことなく、即時解雇することができます。これを「解雇予告除外認定制度」といいます。
この除外認定を受けるに当たって、労働者の責に帰すべき事由とは、病院が定める懲戒事由より、より厳格に判断されます。そのため、書類審査だけでなく、労働基準監督署の担当官が、対象職員その他の関係者に対し実地調査を行うため、申請から認定の判断がなされるまで一定の期間がかかります。こうした手続きのため、「除外認定制度」を申請することなく、解雇予告又は解雇予告手当の支払いで行うことが多いのが現状です。

2020.12.9解雇予告と解雇予告手当について教えてください

職員を解雇する場合は、少なくとも30日以上前に予告をするか、予告に代えて30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならない。(労基法第20条)
これは、解雇する場合
①少なくとも30日前までに解雇の予告をする
②30日分以上の平均賃金((解雇予告当)を支払えば、即時解雇ができる
③予告と平均賃金(解雇予告手当)の併用により、30日分以上確保する
ことが求められています。
この場合、30日とは解雇予告をした日は含まれず、その翌日から起算して30日を確保する必要があります。つまり、解雇予告日と雇用関係がなくなる日との間に中30日を置くことになります。
解雇予告手当の支払い時期については、「解雇の申し渡しと同時に支払うべき」とされています。また、本人に渡せなかったり、受領を拒否される場合は、「労働者が受け取りえる状態にしておくこと」で要件は足りるとされていますが、法務局に供託することも可能です。

2020.11.6働き方改革関連法案やパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)では、大企業と中小企業で施行時期が異なる制度が見受けられますが、中小企業の範囲はどこまでになりますか。また医療法人の場合はどうなりますか。

大企業か中小企業かは「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する従業員の数」で判断されます。これは事業場単位でなく、企業単位で判断されます。業種の分類は総務省の「日本標準産業分類」に従います。ただし、出資持分のない医療法人など、資本金や出資金の概念がない業態は従業員数のみで大企業か、中小企業かを判断します。医療法人の場合、サービス業に分類されるので、従業員100人以下であれば中小企業と判断します。ただし、出資持分がある場合は、それを含めて判断することとなります。

2020.10.29賃金の消滅時効について教えてください

令和2年4月1日労働基準法改正により、労働者の賃金請求権についての消滅時効が従来の2年間から5年間に延長されました。

ただし施行規則により「当分の間、3年とする」と猶予期間が設けられました。退職金については従前のまま5年で変更はありません。

これは民法の短期消滅時効が廃止されたことや、従来の2年の消滅時効では請求したくてもできないまま期間を経過するといった現実的な問題を踏まえ、労働者の権利拡充する方向で改正となりました。

これに伴い、賃金台帳などの記録の保存期間も5年に延長され、当分の間は3年間の保存が必要となりました。

この改正は、もし時間外労働等の賃金が法律に則って支払われていなかった場合、未払い賃金の支払い額が増えることを意味します、再度、自院の残業代等の支払い方法が適法か検証する必要がありそうです。

 

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