鹿児島県医療勤務環境改善センター

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労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

②就業規則・給与制度・人事制度②就業規則・給与制度・人事制度

2021.9.29就業規則の周知義務について教えてください。

就業規則は作成しただけでは法的な効果が発生せず、職員へ周知して効果が発生します。この就業規則の周知については、労働基準法第106条において「使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、職員に周知させなければならない」と定められており事業主の義務となっています。
また、この周知義務については、就業規則を新しく作成した場合だけではなく、都度内容を変更した場合においても、変更後の内容を職員に周知させなければならないものとされています。
周知については、次のような方法です。
〇事業所の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること
〇書面を職員へ交付すること。
〇PC等の機器にデジタルデータとして記録し、職員がいつでも見れるようにすること。

2021.7.16賞与は支給日に在籍していることとすることはできますか

就業規則や賃金規程に明記された、賞与の支給対象期間に在職していたが、支給日までに退職している職員には支給しないとすることは可能かとのケースです。
賞与は、過去の一定期間の労務に対する功労褒章的な意味合いと、将来の労働に対する意欲向上や就労の確保といった意味合いを持ちます。
この過去の就労に対して支払わないことが公序良俗違反にならないか、また、退職の自由を制限することとならないかといった問題が考えられます。
前述した賞与の性格が将来の労働への意欲向上や就労の確保といった性格から考えると、在籍条件も合理性があると言えます。また、在籍要件自体が退職を制限しているとまでは言えません。但し、査定退職期間から相当の期間後の支給であったり、本来の支給日が遅延した場合は支給を拒めない可能性が高い思われます。
最近の判例でも、支給日在籍条件は一定の合理性を認め有効とするようになっています。

2021.5.18配置転換を行う場合の留意点について教えてください。

 職務内容や勤務地を、相当の期間にわたって変更することを配置転換(以下、配転という)といい、勤務地の変更を伴う配転を特に転勤といいます。
 使用者が配転を命じるには、労働協約や就業規則によって配転命令権が労働契約上根拠づけられている必要があります。就業規則に配転を命じ得る旨の包括的規定があり、しかもその規定が形骸化しておらず実態として配転が広く行われている場合には、使用者の配転命令権が肯定されると考えられます(労契法7条)。
 ただし、当該労働者について勤務場所を限定する特約が存在する場合にはそちらが優先し(同条但し書き)、その限定範囲を超える転勤には労働者の個別的同意が必要ということになります。そのような勤務地限定の合意・特約は、採用時のほか、採用後にも成立し得ると考えられます。
 本採用の大卒正社員のように、当該企業で長期的にキャリアを形成していく雇用の場合には、勤務地限定同意が認定されにくい傾向にあります(東亜ペイント事件 最二小判昭61.7.14)が、現地採用の労働者(新日本製鐵事件 福岡地小倉支決昭45.10.26)や、採用面接で転勤には応じられない旨を明確に述べ、そのことについて本社から何の留保もなく採用された労働者(新日本通信事件 大阪地判平9.3.24)など、勤務地限定合意が認定される例もあります。
 なお、使用者に配転命令権が認められる場合でも、①配転命令に業務上の必要性が存しない場合(NTT西日本(大阪・名古屋配転)事件 大阪高判平21.1.15)、②配転命令が不当な動機・目的に基づく場合(フジシール事件 大阪地判平12.8.28)、③労働者に通常甘受すべき程度を超える不利益を及ぼす場合(日本電気事件 東京地判昭43.8.31)には、配転命令は権利濫用として無効になります(労契法3条5項)。
 業務上の必要性は、当該配転が余人をもっては容易に替え難いといった高度の必要性には限定されず、労働力の適正配置、業務の能率促進、労働者の能力開発、勤務意欲の高揚、業務運営の円滑化など企業の合理的運営に寄与する点が認められれば肯定されると考えられます(東亜ペイント事件 最二小判昭61.7.14)。
 また、平成13年に育児介護休業法が改正され、子の養育または家族の介護状況に関する使用者の配慮義務が導入された(法26条)ほか、平成19年制定の労契法でも使用者が仕事と生活の調和に配慮すべきことが規定されている(法3条3項)ことから、近年の裁判例では、配転命令の権利濫用の判断においてこれらの規定を参照し、労働者の私生活上の不利益をより慎重に検討しているものもあります(明治図書出版事件 東京地決平14.12.27)。

2021.4.1年俸制の対象者にも時間外手当は必要ですか

労働基準法は第37条により割増賃金の支払い義務を定め、例外として第41条に管理監督者等の適用除外を受ける者を決めていますが、この41条該当者以外の職員で年俸制の対象者が法定の時間外労働や休日労働、深夜労働を行った場合は、割増賃金を支払わねばなりません。
では、「年俸制の金額には残業代等を含むものとする」と定めることで問題はないでしょうか。この場合、年俸制の金額の中に、割増賃金がいくら入り、何時間分に該当するかが明確になっていなくてはなりません。また、その設定された時間・金額を超えた場合は、不足分は別途支給する必要があります。

2021.2.12退職者への賃金・退職金の支払い時期について教えてください

退職者の金品の返還とその時期については、労基法23条1項において、「使用者は、労働者の死亡又は退職の場合において、権利者の請求があった場合においては、7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければならない。」と決めています。
これは、迅速に変換しないことが、労働者の足止め策に利用されたり、労働者の生活の困窮をさせない為に早期返還を命じたものです。
実務上、賃金と退職金では取扱いが異なります。
賃金の場合、賃金規程に支払日が決まっていたとしても、上記趣旨から、退職した労働者が請求した日から7日以内に支払う義務があります。
退職金の場合、行政解釈では、通常の賃金と異なり、あらかじめ就業規則等で定められた支払い時期に支払えば足りると解されています。よって退職金の場合は、7日以内に支払う必要はありません。

2021.2.10就業規則の届出に労働組合又は労働者代表の意見の提出がありますが、それは反対する意見であっても届け出は可能ですか

「労基法は法90条において、『労働組合の意見を聴かなければならない』としていますが、労働組合との協議決定を要求するものではなく、当該就業規則についての労働組合の意見を聴けば、法違反とならない趣旨である」と行政解釈上されています。
全く意見に聞く耳を持たず、誠実に意見を聴取したと言えない場合は、その後の労使関係に問題が生じることも考えられますが、労使の合意に基づく労働協約とは異なり、就業規則はその作成が使用者に課されているもので、その内容についても使用者の判断により決定されるものです。
よって、採用することのできない反対意見でであっても意見書として届け出ることは可能です。

2020.11.12正職員6名・パートタイマー4名でも就業規則は必要ですか

「常時10人以上の労働者を使用する使用者」は就業規則を作成し、届け出なければならないとされています(労基法89条)
 この場合の常時10人とは、常用雇用の労働者が10人ということではなく、その事業場に常時何人ぐらいの労働者を使用しているかが判断基準になります。これは、いつでも常にということではなく、大体10人以上いるが、時には10人を下回る場合をいいます。逆に、いつもは10人はいないが、繁忙期には20人になるといった場合は常時10人には当てはまらないと考えられます。雇用形態の差(正職員・パート)は問題とならず、事業場としていつも何人いるかが問題です。つまり正職員6名・パート4名の場合、就業規則の作成義務があるということになります。
 この場合、一部の職員である正職員用の就業規則だけ作成すればいいのではなく、パートタイマーに適用する就業規則も作成する必要があります。正職員用の就業規則をパートタイマーにも適用すれば、法律的にはいいのですが、雇用形態で労働条件(賃金制度・退職金制度等)が異なる場合、それぞれに適した就業規則を別個に作ることが実務上必要になってくると思われます。

2020.9.29就業規則にはどのようなことを記載すればいいでしょうか

就業規則に記載する内容には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」があります。
絶対的必要記載事項とは、必ず記載しなければならないもので、勤務時間、休憩、休日、休暇、賃金、退職に関することが当てはまります。
絶対的必要記載事項は次のとおりです。
1.労働時間関係
始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合 においては就業時転換に関する事項
2.賃金関係
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
3.退職関係
退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

相対的必要記載事項とは、会社で独自に定めているもの(退職手当、賞与等の臨時の賃金、安全及び衛生等)があれば、記載しなければならないこととなっています。
相対的必要記載事項は次のとおりです。
1.退職手当関係
適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
2.臨時の賃金・最低賃金額関係
臨時の賃金等(退職手当を除きます。)及び最低賃金額に関する事項
3.費用負担関係
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせることに関する事項
4.安全衛生関係
安全及び衛生に関する事項
5.職業訓練関係
職業訓練に関する事項
6.災害補償・業務外の傷病扶助関係
災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
7.表彰・制裁関係
表彰及び制裁の種類及び程度に関する事項
8.その他
事業場の労働者すべてに適用されるルールに関する事項

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