そもそも、使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間は、手待時間として労働時間とみなされるのが原則です。
しかし、労働密度がまばらであり、労働時間規制を適用しなくとも必ずしも労働者保護に欠けることのない一定の断続的労働に従事するものについて、労働基準法上、労働基準監督署長の許可を受けた場合に労働時間規制を適用除外しています。
これは、通常の労働者と比較して労働密度がまばらであり、労働時間、休憩、休日の規定を適用しなくても、必ずしも労働者保護に欠けるところがないので、労働時間規制が適用除外となっています。但し、緊急の対応等を行った場合は、その時間は労働時間とされます。
そして、「断続的労働」の一態様である「宿直又は日直の勤務で断続的な業務」については、所定労働時間外又は休日における勤務であって、労働者の本来の業務は処理せず、構内巡視、文書・電話の収受又は非常事態に備えて待機するもので、常態としてほとんど労働する必要のない勤務が許可の対象とされているところ(後述の※「一般的な」宿日直許可の基準(参考)を参照してください)ですが、医療法第16条の規定により「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」とされている関係から、医師・看護師等の本来業務であっても特定の軽易な業務については、宿日直勤務中に処理しても差し支えないこととなっています。
詳しくは、以下の二つの通達をご確認ください。
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/5197674079eafb4e58810452e558f34d91450005.pdf
https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/outline/download/pdf/49fa4a893745eb8515bd9d3d3786ed6794314276.pdf
※「一般的な」宿日直許可の基準(参考)
一 勤務の態様
イ 常態として、ほとんど労働をする必要がない勤務のみを認めるものであり、定時巡視、緊急の文書又は電話の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものに限って許可するものであること。
ロ 原則として、通常の労働の継続は許可しないこと。したがって、始業又は終業時刻に密着した時間帯に、顧客からの電話の収受又は盗難・火災防止を行うものについては、許可しないものであること。
二 宿日直手当
宿日又は日直の勤務に対して、相当の手当が支給されることを要し、具体的には、次の基準によること
イ 宿直勤務一回についての宿直手当(深夜割増賃金を含む。)又は日直勤務一回についての日直手当の最低額は、当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われる賃金(法第三十七条の割増賃金の基礎となる賃金に限る。)の一人一日平均額の三分の一を下らないものであること。ただし、同一企業に属する数個の事業場について、一律の基準により宿直又は日直の手当額を定める必要がある場合には、当該事業場の属する企業の全事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者について一人一日平均額によることができるものであること。
ロ 宿直又は日直勤務の時間が通常の宿直又は日直の時間に比して著しく短いものその他所轄労働基準監督署長が右イの基準によることが著しく困難又は不適当と認めたものについては、その基準にかかわらず許可することができること。
三 宿日直の回数
許可の対象となる宿直又は日直の勤務回数については、宿直勤務については週一回、日直勤務については月一回を限度とすること。ただし、当該事業場に勤務する18歳以上の者で法律上宿直又は日直を行いうるすべての者に宿直又は日直をさせてもなお不足でありかつ勤務の労働密度が薄い場合には、宿直又は日直業務の実態に応じて、週一回を超える宿直、月一回を超える日直についても許可して差し支えないこと。
四 その他
宿直業務については、相当の睡眠設備の設置を条件とするものであること。