労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

①その他の労務管理①その他の労務管理

2021.6.8育児休業の対象労働者について教えてください。

「育児休業」をすることができるのは、原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者です。ただし、日々雇い入れられる労働者は除かれます。
期間を定めて雇用される労働者は、次のいずれにも該当すれば育児休業をすることができます。
①同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
②子が1歳6か月に達する日までに、労働契約(更新される場合には、更新後の契約)の期間が満了することが明らかでないこと
また、労使協定で定められた一定の労働者も育児休業をすることはできません。

要件を満たした育児休業の申出により労働者の労務の提供義務は消滅し、事業の繁忙や経営上の理由等により事業主が労働者の休業を妨げることはできません。

2021.6.8労使協定で育児休業の対象から除外されるのは、どのような労働者ですか?

事業主は、要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできませんが、次のような労働者について育児休業をすることができないこととする労使協定があるときは、事業主は育児休業の申出を拒むことができ、拒まれた労働者は育児休業をすることができません。
①その事業主に継続して雇用された期間が1年に満たない労働者
②その他育児休業をすることができないとすることについて合理的な理由があると認められる労働者

上記②の「育児休業をすることができないとすることについて合理的な理由があると認められる労働者」とは、次のいずれかの場合をいいます。
①育児休業申出の日から1年以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
②1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

なお「労使協定」とは、事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定のことをいいます。

2021.6.8採用したばかりの労働者から、妊娠の報告がありました。産休や育休を取得させなければなりませんか?辞めてもらうことは可能ですか?

妊娠・出産等に係る法律は多岐に及びます。ここでは、労働基準法65条や育児介護休業法、男女雇用機会均等法に絞ってご説明します。
労基法65条では、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合は、その者を就業させてはならず、また、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないことが定められています。
また、育児・介護休業法に定める育児休業等は、法に基づく一定範囲の有期契約労働者や、労使協定で除外できる一定の労働者を除き、労働者から請求があれば与えなければなりません。
さらに男女雇用機会均等法第9条3項では、女性労働者の妊娠・出産等厚生労働省令で定める事由を理由とする解雇その他不利益取扱いを禁止しています。また、育児・介護休業法第10条等では、育児休業等の申し出・取得等を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しています。これらの不利益取扱いの判断要件となっている「理由として」とは、妊娠・出産・育児休業等の事由と不利益取扱いとの間に「因果関係」があることを指します。妊娠・出産・育児休業等の事由を「契機として」不利益取扱いを行った場合は、原則として「理由として」いる(事由と不利益取扱いとの間に因果関係がある)と解され、法違反となります。
※原則として、妊娠・出産・育児休業等の事由の終了から1年以内(ただし、事由の終了から1年を超えている場合であっても、実施時期が事前に決まっている、又は、ある程度定期的になされる措置(人事異動、人事考課、雇止めなど)については、事由の終了後の最初の当該措置の実施までの間)に不利益取扱いがなされた場合は「契機として」いると判断されます。

したがって、採用したばかりの労働者であっても、除外事由に該当しない限り育児休業等の請求があれば与えなければなりませんし、解雇等不利益取扱いもしてはいけません。
また、実際に解雇等を行わないとしても、労働者が制度等を利用する(利用しようとする、利用した)ことや、妊娠・出産したこと等に関して、解雇等不利益な取り扱いを示唆する等の言動により労働者の就業環境が害されることがあれば、ハラスメントと解される可能性があります。
報告を受けたら、妊娠を祝う温かい言葉と前向きな態度で接し、利用できる社内制度について説明のうえ、今後の働き方について本人の意向を確認するようにしましょう。

2021.6.8働く女性の母性健康管理に関する制度について教えてください。

男女雇用機会均等法では、事業主の義務として働く妊産婦の母性健康管理について次のように定めています。
1.事業主は、女性労働者が妊産婦のための保健指導又は健康診査を受診するために必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。
①妊娠中の健康診査等回数(原則)
妊娠23週まで ・・・・・・・4週間に1回
妊娠24週から35週まで・・・2週間に1回
妊娠36週以後出産まで ・・・1週間に1回
※ただし、医師等がこれと異なる指示をしたときは、その指示に従って必要な時間を確保することができるようにしなければなりません。
②産後(出産後1年以内)、医師等の指示に従って必要な時間
2.妊娠中及び出産後の女性労働者が、健康診査等を受け、医師等から指導を受けた場合は、 その女性労働者が、受けた指導事項を守ることができるようにするために、事業主は、勤務時間の変更や勤務の軽減等の措置を講じなければなりません。
指導事項に応じた措置には次のようなものが考えられます。
①妊娠中の通勤緩和 → 時差通勤、勤務時間の短縮等の措置
②妊娠中の休憩 → 休憩時間の延長、休憩回数の増加等の措置
③妊娠中又は出産後の症状等への対応 → 作業の制限、勤務時間の短縮、休業等の措置

あわせて労働基準法では、女性労働者の母性保護のため次のように定めています。
◆産前は女性が請求した場合は、6週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)から取得できます。
◆産後は原則として出産の翌日から8週間、女性を就業させることはできません。ただし、産後6週間経過後に、本人が請求し、医師が認めた場合は就業できます。
◆妊娠中の女性が請求した場合は、他の軽易な業務に転換させなければなりません。
◆妊産婦等については、妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせることはできません。
◆変形労働時間がとられる場合でも、妊産婦が請求した場合は、1日8時間及び1週間について40時間を超えて労働させることはできません。
◆妊産婦が請求した場合は、時間外労働、休日労働及び深夜業をさせることはできません。
◆生後満1年に達しない生児を育てる女性は、1日2回各々少なくとも30分の育児時間を請求することができます。

健康診査等受診の時間や勤務時間の短縮、休憩、休業など、実際に勤務しなかった時間分の賃金については、就業規則等に明確に定めておくことが望まれます。
妊娠中及び出産後の女性労働者が医師等から受けた指導内容や、職場で講じるべき措置の内容について、的確に把握するためのツールとして、母性健康管理指導事項連絡カードをご活用ください。https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/josei/hourei/20000401-25-1.htm

2021.5.20突然の子の看護休暇、介護休暇の申請に対し、時季変更権を行使できますか

まず、子の看護休暇とは、小学校就学前の子を養育する職員が申し出ることにより、1年に5日まで(子が2名以上の場合は10日)、病気やけがをした子の看護の為に、休暇を取 得することができる制度です。
また、介護休暇とは、要介護状態にある対象家族の介護をおこなう職員が、事業主に申し出ることにより、年に5日まで(対象被介護者が2名以上の場合は10日)休暇を取得することができる制度です。
この二つの休暇は、利用について緊急を要することが多く、業務上の影響があり、年次有給休暇で認められる時季変更権が行使できないかと考えてしまいます。
しかしながら、年次有給休暇は、継続する労働から解放することで身体のリフレッシュを図るためであり、上記看護休暇・介護休暇は被看護者・被介護者(職員)の緊急事態の為に用意された休暇制度であります。この違いから事業主の時季変更権は行使できないといえます。
事業主は、育児休業、介護休業や子の看護休暇、介護休暇の申し出をしたこと又は取得したことを理由として、職員に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないこととなっています。

2021.5.18遅刻、早退を繰り返す労働者がいます。仕事のミスも多く、いくら注意しても改善されないので解雇したいのですが、どのような点に気を付けるべきですか?

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして、無効とされます(労契法16条)。
 解雇の「客観的合理的理由」については、①傷病等による労働能力の喪失・低下、②能力不足・適格性の欠如、③非違行為、④使用者の業績悪化等の経営上の理由(いわゆる整理解雇)、⑤ユニオンショップ協定に基づく解雇、などがこれに該当します。
 一方、「社会通念上の相当性」の判断においては、当該事実関係の下で労働者を解雇することが過酷に過ぎないか等の点が考慮されます。就業規則や労働協約が定める解雇事由に該当する場合であっても、使用者は当然に労働者を解雇できるわけではなく、解雇が権利濫用に当たらないかどうかが問題になります。
 社会的相当性の判断に際して、裁判では、使用者は教育訓練、配置転換等の手段で、解雇を回避する努力をしなければならない(セガ・エンタープライゼス事件 東京地決平11.10.15)とするものや、解雇は労働者にとって生活の基盤を覆滅させるものであるから、勤務成績や能力が不良として解雇する場合には、使用者においてその是正のための努力をし、それにも関わらず、なおその職場から排除しなければ適正な経営秩序が保たれない場合に初めて解雇が許されるものと解するのが相当(リオ・ティント・ジンク社事件 東京地判昭58.12.14)とするものもあり、労働者に有利な事情が最大限に考慮される傾向にあります。
 解雇の理由となった労働者の行為が軽微なものであり、当該理由をもって解雇を行うこと過酷に過ぎる場合や、他の労働者の取扱いとの均衡を欠く場合には、社会的相当性を欠くものとして解雇が無効となります。また、上司は繰り返し注意を行ったつもりでいても、当該労働者自身が注意を受けた認識がなく、「注意を受けたこともないのに、突然解雇された」と主張される場合もあります。
 遅刻、早退、仕事のミス等について記録するのはもちろんですが、必要な教育訓練や改善の為に繰り返し注意・指導を行ったことの記録等も、労使双方が認識できる形できちんと残した方がよいでしょう。最終的な解雇判断は、より慎重に行うべきです。

2021.4.7就業規則に規定した、退職者に対する秘密保持義務は有効ですか

在職中の職員に対しては、雇用関係から発生する誠実義務の一つとして、秘密保持義務が存在するといわれています。実際は、就業規則に明記されていることが多いと思います。近年、個人情報等を厳しく管理することが求められています。退職者の秘密保持についても順守を求めることは当然と言えます。
就業規則は、病院の秩序維持を目的とする以上、在職者の権利義務を中心に規定されることから、退職者の義務については規定されていない病院も見受けられますが、病院の秩序維持のため合理的であれば、退職者の義務についても就業規則に定めることは可能です。
就業規則の在職職員の秘密保持の条文に「退職後も同様の義務を負う」旨の規定を備えておくべきです。更に、個別の誓約書の提出を受ければ、より確実といえるでしょう。

2021.3.23令和3年4月1日施行される高年齢者雇用安定法の改正について教えてください

高年齢者雇用安定法は、少子高齢化が急速に進行し人口が減少する中で、経済社会の活力を維持するため、働く意欲がある誰もが年齢にかかわりなくその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境整備を図る法律です。高年齢者が長年培った知識・経験を十分に活かし、意欲と能力のある限り社会の支え手として活躍し続けることのできる社会の構築が求められています。

〇これまでの高年齢者雇用安定法 ~65歳までの雇用確保(義務)~
・60歳未満の定年禁止
・・事業主が定年を定める場合は、その定年年齢は60歳以上としなければなりません。
・65歳までの雇用確保措置
・・定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。
・・・① 65歳までの定年引き上げ
・・・② 定年制の廃止
・・・③ 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度等)を導入

〇改正のポイント ~70歳までの就業機会の確保(努力義務)~
65歳までの雇用確保(義務)に加え、65歳から70歳までの就業機会を確保するため、高年齢者就業確保措置として、以下のいずれかの措置を講ずる努力義務を新設。(令和3年4月1日施行)
・① 70歳までの定年引き上げ
・② 定年制の廃止
・③ 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
・・(特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものを含む)
・④ 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
・⑤ 70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入
・・a.事業主が自ら実施する社会貢献事業
・・b.事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

●「厚労省 高年齢者雇用対策 70歳」検索

※看護師の人材確保・人材不足解消の対策が求められています。継続雇用の勤務体系をフルタイム以外にも短時間や短日の勤務を取り入れて柔軟に働ける制度を設けたり、勤務場所も病院に加え他の施設も選択できるようにしたり、健康面や個人の事情に合わせた働き方が選択できるような長く働ける環境整備、人材育成がポイントになります。多様な職種の人材が柔軟な勤務体系で長期間の継続雇用が実現することで若い世代にとってもモチベーションの向上が図られ、退職者の再雇用につながる効果も期待できるのではないでしょうか。

2021.3.12副業・兼業を認める場合の注意点について教えてください

これまでは、本業に対する支障や企業秘密の漏洩・競業・利益相反等の点から副業・兼業が認められないケースが多数でしたが、キャリア形成といった自己実現の追求、十分な収入の確保といった理由から、副業兼業を希望する職員が出てきました。
政府は「柔軟な働き方がしやすい環境整備」の一つとして副業・兼業の普及促進を図っており、厚生労働省においても「副業兼業の促進に関するガイドライン」を作成しています。
副業兼業を容認する場合は、ただ黙認するのではなく、就業規則において一定のルールを定める必要があります。
厚生労働省が示した就業規則のモデルでは、原則として副業・兼業を認めた上で、届け出制とし、
①労務提供上の支障がある場合 ②企業秘密が漏洩する場合 ③会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合 ④競業により、企業の利益を害する場合
といった禁止・制限できる場合を挙げています。
また、労働基準法38条に「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」とされており、職員から副業・兼業の内容の申告だけでなく労働状況の申告を受け、労働時間を詳細に管理する必要があります。そして、副業・兼業により健康を害することがないよう必要な健康確保措置を講じておく必要もあります。

2021.2.19業務委託が偽装請負(労働者派遣)となる場合を教えてください。

請負(業務委託)とは「いついつまでに、これこれの仕事をやってください」という形で仕事を受けることです。
実態としては労働者派遣であるのに、請負という形だけをとった「偽装請負」と考えられるものがあります。形式的に請負契約(業務委託契約)がなされていても、実質的には受託者の労働者を職員と同様に指揮・命令して、業務を遂行しているといったケースです。
請負と派遣との違いは、請負は発注者と受託労働者との間に指揮・命令権あるか、ないかがポイントです。
「偽装請負」は、職業安定法、労働基準法、労働者派遣法などに違反し、違法です。

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