労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

③同一労働同一賃金③同一労働同一賃金

2021.7.15「均衡待遇」が求められる場合、取組対象労働者(短時間労働者及び有期雇用労働者)の待遇と比較対象労働者(通常の労働者)の待遇に違いがある場合に、その違いは不合理な待遇差であってはならないため、不合理な待遇差であるか否かについて点検・検討する必要があるようですが、その点検・検討の「基本手順」を教えてください。

 不合理な待遇差を点検し、対応策を検討する手順は、基本的には、以下の流れになります。
 ①比較対象労働者との間に違いがある個々の待遇の「性質・目的」を明らかにします。
  ・なぜ、その待遇に関する制度を設けたのか
  ・どのような事象に対してその待遇を支給・付与することとしているのか
  ・その待遇を労働者に支給・付与することにより、どのような効果を期待しているか
  といった観点等から、「性質・目的」の内容を明らかにすることが必要です。
 ②手順①で明らかにした待遇の「性質・目的」を踏まえ、待遇に関連する考慮要素は、3考慮要素の中のどれに当たるかを判断します。
  ※待遇の「性質・目的」によっては、3考慮要素の中で複数の要素が関連する場合があります。
  ※3考慮要素とは、「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲」、「その他の事情」です。
 ③手順②で判断をした「考慮要素」に基づき、「違い」が生じている理由を整理し、「違いが不合理ではない」といえるか否かを確認します。
(留意点)
 比較対象労働者と取組対象労働者との間で、待遇に関する決定基準を異なるものとすることは、パートタイム・有期雇用労働法では禁止されていません。例えば基本給について、正職員は能力に応じて支給する職能給、パート職員は職務の内容に応じて支給する職務給というように決定基準を異なるものとしている事例も多く見られます。
 しかしながら、決定基準が異なっているのであれば、そのことが、「職務の内容」、「職務の内容・配置の変更の範囲」、「その他の事情」の3考慮要素に基づいて、不合理でないと説明できることが必要です。
 単に「パートだから」とか、「将来の役割期待が異なるので」といった、主観的・抽象的な説明では、不合理でないことを説明するには不十分です。
 また、不合理な待遇差であるか否かは、個々の待遇ごとに判断することが基本ですが、ある待遇が他の待遇との関係で決まっている場合には、それも考慮される場合があります。ただし、その理由について客観的・具体的に説明できるようにしておくことが必要であり、労使で認識を共有しておくことが望ましいです。

2021.7.8同一労働同一賃金について、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、①職務の内容あるいは②職務の内容・配置の変更の範囲が異なる場合は、「均衡待遇」であることが求められ、短時間・有期雇用労働者の待遇は、①、②及び③その他の事情のうち、待遇の性質及び待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、通常の労働者との間に不合理な待遇差のないようにすることが求められるみたいですが、③その他の事情とは、どのようなことですか。

 ③その他の事情とは、「①職務の内容」、「②職務の内容・配置の変更の範囲」以外の事情で、個々の状況に合わせて(考慮すべきその他の事情があるときに)、その都度検討するものです。例えば、成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経緯は、「③その他の事情」として想定されています。なお、ある待遇が他の待遇との関係で決まっている場合には、それも考慮される場合があります。ある待遇を他の待遇との関係で決めている場合には、その理由について客観的・具体的に説明できるようにしておくことが必要であり、労使で認識を共有しておくことが望ましいです。

2021.6.28同一労働同一賃金について、短時間・有期雇用労働者と通常の労働者との間で、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲が同じ場合は、短時間・有期雇用労働者であることを理由とした差別的取扱いが禁止され、待遇が通常の労働者と同じ方法で決定される必要がある(均等待遇)みたいですが、①職務の内容、②職務の内容・配置の変更の範囲とは、どのようなことですか。

 まず、①職務の内容とは、「a.業務の内容」と「b.当該業務に伴う責任の程度」のことをいいます。
 「a.業務の内容」について、業務とは職業上継続して行う仕事をいい、業務の内容に違いがあるかは、業務の種類(職種)と、従事している業務のうち中核的業務が実質的に同じかどうかで判断します。なお、業務の種類(職種)とは、看護職、事務職等といった従事する業務のことをいい、中核的業務とは、職種を構成する業務のうち、その職種を代表する中核的なものを指し、職種に不可欠な業務を指します。
 「b.当該業務に伴う責任の程度」とは、業務の遂行に伴い行使するものとして付与されている権限の範囲・程度等(例えば、管理する部下の人数、職場において求められる役割、トラブル発生時や臨時・緊急時に求められる対応等)をいい、当該業務に伴う責任の程度に違いがあるかは、責任の程度が著しく異ならないかどうかで判断します。
 次に、②職務の内容・配置の変更の範囲とは、将来の見込みも含め、転勤、昇進といった人事異動や本人の役割の変化等(配置の変更を伴わない職務の内容の変更を含む。)の有無や範囲のことをいいます。
 均等待遇は、待遇決定に当たって、短時間・有期雇用労働者が通常の労働者と同じに取り扱われること、つまり、短時間・有期雇用労働者の待遇が通常の労働者と同じ方法で決定されることを指しますが、同じ取扱いのもとで、能力、経験等の違いにより差がつくのは構いません。

2021.6.24パートタイム・有期雇用労働法の、目的や理念、用語の定義について簡単に教えてください。

 この法律は、我が国における少子高齢化の進展、就業構造の変化等の社会経済情勢の変化に伴い、短時間・有期雇用労働者の果たす役割の重要性が増大していることに鑑み、短時間・有期雇用労働者について、その適正な労働条件の確保、雇用管理の改善、通常の労働者への転換の推進、職業能力の開発及び向上等に関する措置等を講ずることにより、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保等を図ることを通じて短時間・有期雇用労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、もってその福祉の増進を図り、あわせて経済及び社会の発展に寄与することを目的としています。
 基本的理念として、短時間・有期雇用労働者及び短時間・有期雇用労働者になろうとする者は、生活との調和を保ちつつその意欲及び能力に応じて就業することができる機会が確保され、職業生活の充実が図られるように配慮されるものとされます。
 ここで、用語の定義について簡単に説明しますと、「通常の労働者」とは、いわゆる「正規型」の労働者及び事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているフルタイム労働者をいいます。また、「短時間労働者」とは、労働契約期間の有期・無期に関わらず、1週間の所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者をいい、「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者をいいます。そして、「短時間・有期雇用労働者」とは、短時間労働者及び有期雇用労働者をいいます。

2021.6.23同一労働同一賃金について、不合理な待遇差の解消にあたり留意すべきことを教えてください。

通常の労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消するにあたっては、基本的に、労使の合意なく通常の労働者の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえません。
また、雇用管理区分が複数ある場合であっても、すべての雇用管理区分に属する通常の労働者との間で不合理な待遇差の解消が求められます。
通常の労働者とパートタイム労働者・有期雇用労働者・派遣労働者との間で職務の内容等を分離した場合であっても、通常の労働者との間の不合理な待遇差の解消が求められます。

2021.6.9同一労働同一賃金について、不合理な待遇差の点検・検討手順の全体像を簡単に教えてください。

 同一労働同一賃金について、事業主が不合理な待遇差がないかを点検・検討し、対応策を検討するための望ましい手順の全体の流れは以下のとおりです。
 まず、医療機関内の労働者を職員タイプごとに区分し、それぞれの職員タイプの特徴を「労働契約期間」・「1週間の労働時間」をもとに整理します。これによって、パートタイム・有期雇用労働法の対象となる労働者を雇用しているかを確認します。
 短時間・有期雇用労働者が「いる」場合、「均等待遇」、「均衡待遇」の対象となる短時間・有期雇用労働者を確認します。
 次に、短時間・有期雇用労働者の職員タイプごとに、個々の待遇の「適用の有無」と「決定基準」を整理して、通常の労働者と短時間・有期雇用労働者との間での「違い」を確認します。
 そして、個々の待遇ごとに以下の手順で均等・均衡を点検します。
 ①均等待遇の対象となる短時間・有期雇用労働者に対しては、全ての待遇について決定基準が通常の労働者と「同一」であるかを確認します。
 ②均衡待遇の対象となる短時間・有期雇用労働者に対しては、「適用の有無」あるいは「決定基準」に「違い」がある場合には、当該待遇の「性質・目的」を確認・整理し、「性質・目的」に適合する考慮要素を3考慮要素(職務の内容、職務の内容・配置の変更の範囲、その他の事情)の中から特定し、その考慮要素に基づき、「違い」を適切に説明できるかを検討します。
 最後に、均等待遇の場合で待遇の決定基準が異なる場合や、均衡待遇の場合で「違い」が適切に説明できない場合には、是正策を検討します。

2021.6.2同一労働同一賃金の説明義務について教えてください。

2019年4月1日に「短時間・有期雇用労働法(以下、「法律」といいます)」が改正され、同一労働同一賃金について、どのような対応をしているのかを、短時間・有期雇用労働者に対して「説明する義務」が定められました。

説明義務が生じるのは、2つの場合です。
一つ目は、「雇い入れたとき」
二つ目は、「説明を求められたとき」
大切なことは、2つの場合に、説明する内容が異なる、ということです。
1 雇い入れたときの説明(第14条第1項)
①法律で定める説明内容については
・待遇の差別的取扱い禁止(第9条)
・賃金の決定方法(第10条)
・教育訓練の実施(第11条)
・福利厚生施設の利用(第12条)
・通常の労働者への転換を推進するための措置、についてです。
②具体的な説明内容としては、
・賃金制度はどうなっているか
・どのような教育訓練があるか
・どの福利厚生施設が利用できるか
・どのような正職員転換推進措置があるか、などです。
2 説明を求められた際の内容(第14条第2項)
①法律で定める説明内容については
・労働条件の文書交付等(第6条)
・就業規則の作成手続(第7条)
・待遇の差別的取扱い禁止(第9条)
・賃金の決定方法(第10条)
・教育訓練の実施(第11条)
・福利厚生施設の利用(第12条)
・通常の労働者への転換を推進するための措置、についてです。
②具体的には
・どの要素をどう勘案して賃金を決定したか
・どの教育訓練や福利厚生施設がなぜ使えるか、または、なぜ使えないか
・正職員への転換推進措置の決定に当たり何を考慮したか、 などです。
3 説明の方法
短時間・有期雇用労働者に対して説明を行う際には、基本的には「口頭」で行うことで足り、あえて説明用の書面などを作成する必要はありません。
ただし、説明する際には、内容を理解しやすくするために、あわせて就業規則や賃金規程などの資料を用意しておくことが望ましいでしょう。
また、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときに説明を行う場合、個別に説明をしなくても、例えば説明会などを開催して、複数人に対してまとめて説明することも可能です。

2021.5.27パートタイム・有期雇用労働法の、均衡待遇と均等待遇について、簡単に教えてください。

 パートタイム・有期雇用労働法第8条で定める均衡待遇のルールは、簡単に言えば、働く前提条件が異なるならば、その違いに応じて均衡(バランス)のとれた待遇を求めるというものです。
 パートタイム・有期雇用労働法第8条は、「事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。」と定めています。
 一方、パートタイム・有期雇用労働法第9条で定める均等待遇のルールは、簡単に言えば、就業の実態が同じなのに、パート・有期雇用労働者であることを理由として、待遇について差別的な取り扱いをしてはならないというものです。
 パートタイム・有期雇用労働法第9条は、「事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。」と定めています。

2020.12.24同一労働同一賃金について教えてください

少子高齢化の進展により人手不足が深刻さを増していく中、持続的に成長していくためには、短時間・有期雇用労働者が活躍できる職場環境を整備し、労働者から選ばれる企業となることが大切です。そのためには通常の労働者との不合理な待遇差を解消し、短時間・有期雇用労働者が納得して働ける待遇を実現することが求められます。

そこで2017年3月に働き方会改革実現会議において「働き方改革実行計画」が決定され、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消、いわゆる「同一労働同一賃金」の実現に向けて法整備とガイドラインの整備がスタートしました。

それから2018年6月には「働き方改革関連法」が国会において成立し、関係する法律である「パートタイム労働法」「労働契約法」「労働者派遣法」が改正されました。そして「パートタイム労働法」は「パートタイム・有期雇用労働法」に変更されることになりました。大企業は2020年4月1日、中小企業は2021年4月1日が施行日となります。

主な改正ポイントは、
・不合理な待遇差を解消するための規定の整備
  その中心となる考え方がいわゆる「均等待遇」と「均衡待遇」になります。両方を実現すること
 が求められます。
・労働者に対する待遇に関する説明義務
  雇入れ時には、実施する雇用管理改善に関する措置の内容、求めがあった場合には、通常の労働者
 との間の待遇差の内容、その理由について説明することが義務化されました。

よって、就業規則や賃金規程を見直すには相応の時間を要しますので、対応は計画的に進めましょう。

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