労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

2. 健康管理に関すること②メンタルヘルス

2020.11.19ワーク・エンゲイジメントについて、端的に教えてください。

 社会経済状況の変化に伴い,職場のメンタルヘルス活動では,精神的不調への対応やその予防にとどまらず,個人や組織の活性化を視野に入れた対策を行うことが,広い意味での労働者の「こころの健康」を支援する上で重要になってきました。このような流れを受けて 2000 年前後から,心理学および産業保健心理学の領域でも,人間の有する強みやパフォーマンスなどポジティブな要因にも注目する動きが出始めました。このような動きの中で新しく提唱された概念の 1 つがワーク・エンゲイジメント(Work Engagement)(Schaufeli, Salanova, Gonzalez-Romá, et al., 2002; 島津, 2014)です。
 ワーク・エンゲイジメントとは「仕事に誇りややりがいを感じている」(熱意),「仕事に熱心に取り組んでいる」(没頭),「仕事から活力を得ていきいきとしている」(活力)の 3 つがそろった状態であり,バーンアウト(燃え尽き)(Maslach & Leiter, 1997)の対概念として位置づけられています(ワーク・エンゲイジメントは,活動水準が高く仕事への態度・認知が肯定的であるのに対して,バーンアウトは,活動水準が低く仕事への態度・認知が否定的)。
 また、ワーク・エンゲイジメントの高い従業員は,心身の健康が良好で,生産性も高いことが分かっています。
 なお、「過度に一生懸命に強迫的に働く傾向」を意味するワーカホリズム(Schaufeli, Shimazu, & Taris, 2009)は,活動水準は高いものの仕事への態度が否定的である点で,ワーク・エンゲイジメントと異なります。

2020.8.1最近、職員に笑顔が見られなくなり、視線を合わせることがなく、伏し目がちになっています。メンタル不調の心配もあり、どうすればよいのか困っています。

まず、職場におけるメンタルヘルス対策に関する基礎をご確認されることをお勧めいたします。

厚生労働省が、労働安全衛生法に基づき「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日公表)を策定し、メンタルヘルスケアの進め方や留意点などを示しています。

職場のストレスには、職員自身の気づきと対処が必要であることのみならず、職場で組織的・計画的にメンタルヘルス対策を行うことが重要です。また、ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じて、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見、適切な措置)、三次予防(不調者の職場復帰支援)を円滑に行う必要があります。

メンタルヘルスケアを進める際の留意点としては、①心の健康問題の特性の理解(個人差があり、評価・プロセスの把握が困難)、②個人情報保護への配慮、③人事労務管理との連携、④家庭・個人生活等の職場以外のストレス要因も影響し合うことをおさえることが大切です。

そして、衛生委員会等で「心の健康づくり計画」を策定(確認)し、4つのケアを行います。4つのケアとは、①職員自身による対処である「セルフケア」、②管理監督者による対処である「ラインによるケア」、③産業医、衛生管理者、保健師等による対処である「事業場内の産業保健スタッフ等によるケア」、④外部機関等による支援である「事業場外資源によるケア」です。

メンタルヘルスケアの進め方としては、個人情報の保護に配慮しつつ、①教育研修・情報提供、②職場環境等の把握と改善、③メンタルヘルス不調への気づきと対応、④休職者の職場復帰における支援を行います。

メンタルヘルス対策は、医療勤務環境改善マネジメントシステムとも密接に関係します。

また、医師に関して、月に4日以下しか休日を取っていない医師が46%おり、医師の53%は自身の体調不良について全く相談しないという報告もあります。

事業場外資源の活用として、医療勤務環境改善支援センターの活用も1つの方法です。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(https://kokoro.mhlw.go.jp/)やいきいき働く医療機関サポートWeb「いきサポ」(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/)などもご参考に、対策を進めていかれてはいかがでしょうか。

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