労務Q&A

本センターでは、医療労務管理アドバイザー作成の「労務管理実務Q&A」を順次アップして参ります。医療機関の勤務環境改善に向けた取組みの推進にお役立てください。(Q.をクリックすると回答のA.が下部に表示されます。)

①健康診断2. 健康管理に関すること

2020.10.19健康診断の事後措置について教えてください。

事業者は、健康診断の結果(健康診断の項目に異常の所見があると診断されたものに限ります)に基づき、健康保持のために必要な措置について、医師又は歯科医師の意見を聴かなければなりません(労働安全衛生法(以下「安衛法」)第66条の4参照)。
 この意見聴取の義務は、事業場の規模にかかわりなく(産業医の選任義務の有無にかかわりなく)課されています。
 なお、意見聴取は健康診断が行われた日から原則として3カ月以内に行い、聴取した医師または歯科医師の意見を健康診断の個人票に記載することとされています(労働安全衛生規則(以下「安衛則」)第51条の2参照)。
 そして、健康診断の結果についての医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、その職員の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置・整備、医師又は歯科医師の意見の衛生委員会等への報告その他の適切な措置を講じなければなりません(安衛法第66条の5参照)。
 また、職員が自らの健康状態を把握する必要があることから、健康診断の結果を職員に対して遅滞なく通知することが事業者に義務付けられています(安衛法第66条の6、安衛則第51条の4参照)。
 さらに、職員自身による自主的な健康管理を促進するため、健康診断の結果所見を有するような職員に対して、どのようにして健康管理を行うかについて、医師又は保健師による保健指導を実施することが事業者の努力義務となっている一方、職員についても、健康診断の結果や保健指導を利用して健康管理に努めることとされています(安衛法第66条の7参照)。
 事業者は、健康診断個人票を5年間保存し(安衛法第66条の3、安衛則第51条参照)、定期健康診断等の結果報告書を所轄の労働基準監督署長に提出(職員(労働者)数が常時50人以上の場合)しなければなりません(安衛則第52条参照)。
 なお、定期健康診断等の結果、脳・心臓疾患に関連する検診項目(血圧・血中脂質・血糖・腹囲または肥満度)のすべてに所見が見られた場合等に、二次健康診断及び特定保健指導を、労災保険給付の現物給付として無料で受けられます(申請行為が必要であること、請求期間の制限などがあります)。
具体的な措置に関しては、健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/kouji/K170417K0020.pdf)が参考になります。

2020.10.15健康診断について教えてください。

病院で行われる一般健康診断にはいくつか種類があり、事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健康診断を実施しなければなりません。
「雇入れ時の健康診断」は、常時使用する労働者が対象で雇入れの際に行います。
また雇入れ後1年以内ごとに一回、定期的に行う「定期健康診断」があります。
「特定業務従事者の健康診断」は、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務や深夜業を含む業務等が対象となり、その業務への配置替えの際と6月以内ごとに1回の実施が義務づけられています。他にも重量物の取扱いなどいくつか特定業務が定められています。
食堂や厨房で給食の業務に従事する労働者には、雇入れの際と配置替えの際に「給食従事員の検便」の実施が求められます。
その他海外に6ヶ月以上派遣する労働者に対して行う、「海外派遣労働者の健康診断」があります。
労働者は、事業者が行う健康診断を受けなければなりません。健康管理に努めましょう。

2020.10.2職員の健康管理や健康確保について、何か役立つ情報があったら教えてください。

健康管理や健康確保についての役立つ情報の一つとして、ストレスマネジメントについてご紹介いたします。米国国立職業安全保健研究所(NIOSH)の職業性ストレスモデルによれば、仕事のストレス要因(人間関係や長時間労働、役割上の葛藤など)や、仕事以外の要因(家庭の状況など)、個人的要因(年齢や性格など)によって引き起こされるストレス反応(イライラ感、だるさ、過食など)が持続することで、ストレス関連疾患が発症すると考えられています。
なお、緩衝要因(ストレス反応の発現を抑える要因)は、個人を支える社会的支援(上司・同僚・家族)が含まれ、日ごろから何でも話し合える友人や家族などとの関係を作っておけることが大切です。
 上手なストレス対処法としましては、ストレスに強くなるライフスタイル(運動・スポーツ・睡眠・休養・栄養)や、リラクセーション法(漸進的筋弛緩法・呼吸法・自律訓練法・ストレッチング・ヨガ・ピラティス・つぼマッサージ・入浴・アロマテラピー・音楽など)、相談などがあります。
なお、漸進的筋弛緩法とは、全身の筋肉を弛緩する方法のひとつで、最初に軽く筋緊張をしてから弛緩する方法です。呼吸法とは、腹式呼吸や、メトロノームなどの外的道具を用いるペーシング呼吸などのことです。自律訓練法とは、過緊張した交感神経を沈静化して、逆に副交感神経の活性を高めることで自律神経系のバランスを回復させる効果のある、一種の自己催眠法のことです。
 ストレスに気づくことが、まずはストレス対策の第一歩です。日ごろからリラクセーションなどを取り入れ、自分と環境との関係を見つめる機会を持つことが大切です。また、ご自分での対処が困難な場合は、事業場内外の相談窓口を利用することもご検討ください。

2020.8.20最近、腰痛の発生原因に心理社会的要因も関与していることが明らかになってきたという話を聞きました。それについて簡単に教えてください。

腰痛の発生原因における心理社会的要因についてですが、明らかな原因疾患のない非特異的腰痛について、職場でのストレスや、腰痛が悪化することへの不安感が脳機能の不具合を起こし、筋肉の緊張や痛みの過敏化を引き起こすことが、最近の脳科学で明らかになってきているようです。
 Fear-Avoidance model(恐怖回避思考モデル)において、「私の腰痛は決して良くならない」、「この痛みには耐えられない」、「私は痛みに対処できない」などの痛みに対する歪んだ認知(思考)が負のスパイラルを始動し、痛みに対する不安、恐怖からの回避行動(腰を大事にする、腰痛ベルトを常につける、腰に負担がかかる作業はしない、仕事を休むなど)を助長します。そして、不活動が、抑うつ、社会生活への適応障害ももたらし、さらに痛みを遷延化させてしまうのです。
 非特異的腰痛の場合、痛みを楽観的に考え、多少痛くても、身体を動かすことも重要であると言えそうです。
 平成30年度 厚生労働科学研究費補助金 労働安全衛生総合研究事業「労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する研究(H28 – 労働- 一般- 004)」の成果物として、「職場での腰痛対策の進め方」が、労働生産性の向上に寄与する健康増進手法の開発に関する島津明人氏の研究室ホームページよりダウンロードできますので、ご参考にされてください。「職場での腰痛対策の進め方」(https://hp3.jp/wp-content/uploads/2019/06/06.pdf)

2020.8.1最近、職員に笑顔が見られなくなり、視線を合わせることがなく、伏し目がちになっています。メンタル不調の心配もあり、どうすればよいのか困っています。

まず、職場におけるメンタルヘルス対策に関する基礎をご確認されることをお勧めいたします。

厚生労働省が、労働安全衛生法に基づき「労働者の心の健康の保持増進のための指針」(平成18年3月31日公表)を策定し、メンタルヘルスケアの進め方や留意点などを示しています。

職場のストレスには、職員自身の気づきと対処が必要であることのみならず、職場で組織的・計画的にメンタルヘルス対策を行うことが重要です。また、ストレスチェック制度の活用や職場環境等の改善を通じて、一次予防(未然防止)、二次予防(早期発見、適切な措置)、三次予防(不調者の職場復帰支援)を円滑に行う必要があります。

メンタルヘルスケアを進める際の留意点としては、①心の健康問題の特性の理解(個人差があり、評価・プロセスの把握が困難)、②個人情報保護への配慮、③人事労務管理との連携、④家庭・個人生活等の職場以外のストレス要因も影響し合うことをおさえることが大切です。

そして、衛生委員会等で「心の健康づくり計画」を策定(確認)し、4つのケアを行います。4つのケアとは、①職員自身による対処である「セルフケア」、②管理監督者による対処である「ラインによるケア」、③産業医、衛生管理者、保健師等による対処である「事業場内の産業保健スタッフ等によるケア」、④外部機関等による支援である「事業場外資源によるケア」です。

メンタルヘルスケアの進め方としては、個人情報の保護に配慮しつつ、①教育研修・情報提供、②職場環境等の把握と改善、③メンタルヘルス不調への気づきと対応、④休職者の職場復帰における支援を行います。

メンタルヘルス対策は、医療勤務環境改善マネジメントシステムとも密接に関係します。

また、医師に関して、月に4日以下しか休日を取っていない医師が46%おり、医師の53%は自身の体調不良について全く相談しないという報告もあります。

事業場外資源の活用として、医療勤務環境改善支援センターの活用も1つの方法です。働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」(https://kokoro.mhlw.go.jp/)やいきいき働く医療機関サポートWeb「いきサポ」(https://iryou-kinmukankyou.mhlw.go.jp/)などもご参考に、対策を進めていかれてはいかがでしょうか。

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