・近年、介護現場では、利用者や家族等による介護職員への身体的暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメントなどが少なからず発生していることが様々な調査で明らかとなっています。
・施設・事業所に勤務する職員のうち、利用者や家族等から、身体的暴力や精神的暴力、セクシュアルハラスメントなどのハラスメントを受けた経験のある職員は、サービス種別により違いはあるものの、利用者からでは4~7割、家族等からでは1~3割になっています。ハラスメントを受けたことにより、けがや病気になった職員は1~2割、仕事を辞めたいと思ったことのある職員は、2~4割となっています。
・事業者(事業主)は、労働契約法に定められる職員(労働者)に対する安全配慮義務等があることから、その責務として利用者・家族等からのハラスメントに対応する必要があります。ハラスメント対策は介護職員を守るだけでなく、利用者にとっても介護サービスの継続的で円滑な利用にも繋がる重要な対策です。
・ハラスメントは、利用者や家族等の環境や生活歴、職員と利用者・家族等との相性など様々な要素が絡み合うことがあり、一律の方法では適切に対応できないケースもあります。ハラスメントが発生した場面、対応経過等について、できるだけ正確に事実を捉えた上で、事業所全体でよく議論し、ケースに沿った対策を立てていくことが重要となります。
・厚労省の「介護現場におけるハラスメント対策」のサイトに、ハラスメントの実態を伝え、取り組むべき対策などを示したマニュアルや研修の手引き・動画や事例集が公開されています。事業所が具体的に取り組むべきこと、利用者・家族等に対する周知のポイント、相談しやすい職場づくり、発生時後の各対応、職員・管理者別の取組み方など、参考となる詳しい情報や手引きツールがありますのでご活用ください。